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2022年11月20日 (日)

神経質礼賛 2047.突破口

 新患のひきこもり青年。受け付けたケースワーカーさんが「父親が言うには、車に乗ったまま診察してもらえないかと言うんですけど、どうしましょう」と。「それはだめです。特別扱いはしません」と答える。結局、通常通り、本人が一人で診察室に入る。人の目が気になって床屋にも行っていないというが、礼儀正しく、受け答えもしっかりしている。中学の時に部活の先輩からいじめられたのがきっかけで不登校になり、その後の学校でもいろいろあって、これまた行けなくなってしまったという。問診している中では精神病的な兆候はみられない。新患の人によくやってもらうY-G(矢田部―ギルフォード)性格検査では、神経症やうつ病の人によくあるE型を示すが、目立っているのは高I(劣等感が強い)と低Ag(攻撃的でない)だけである。しかも短時間で几帳面に仕上げていて、作業能力の高さを窺わせる。外出は怖いけれど働きたいと述べる。症状はありながらも何とかしたいという意欲があるのは良いサインであり、(森田)神経質と言ってよいだろう。今まで、精神科にかかろうとしてできなかったそうだ。それでも、よりよく生きたいという生の欲望に沿って、苦しいながらも診察を受けることができたのは、これからに向けての突破口になるだろう。薬による治療は望んでいないとのことだったので、まずは家の中での仕事を増やす。そして、思い切って一人で買い物や床屋に外出、さらにはアルバイトに挑戦するようアドバイスした。これからも突破口を見つけて一つずつくぐり抜けていくうちに必ず道は開けてくるだろう。本人が体験してその成果の積み重ねが自信になっていくのである。今回の受診を皮切りにさらに前進していってほしいものだ。

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コメント

四分休符先生

 彼にとってとても勇気の要る事だったと思います。理解出来ます。ダメなものはダメなのです。処が、彼はやってのけた。まさに、四分休符先生言われるとおり突破口と私は思いました。

 我々鈴木知準診療所の入院生は皆口を揃えて「恐怖突入」と言っておりました。鈴木先生はそれは違う、と言っておられたように記憶しています。

 やはり、「恐怖突入」が私にはふさわしい、です。

 初めて社会生活なるものを経験した折り、上司が「おごるよ」と言われました。
え!?食べるの?外で食べるなんてダメ。でも、4,5人の仲間には私の状態は知られていない。勿論上司も。
 思い切って、生協食堂でラーメンを食べました。涙ながらの「恐怖突入」。

 でも、その後どうしたのか、覚えていません。食べた事は食べたのでしょうけれど、さて、どうしたのでしょうか。

 ダメだった例もあります。もう、緊張目一杯。パニクって逃げたい一心。吐きそう...職場のベットで休んで帰宅しました。
 「恐怖突入」がいつもうまくいくとは限らない。突破口になり得ないようにも感じているのです。

yukimiya 様

 苦手な会食の場面、どうなったか覚えていないということは何とかなっていたのではないでしょうか。もちろん、恐怖突入で思い切って飛び込んでみてもうまくいかないことはあります。神経質人間は失敗はよく覚えているものです。そして何とかできていても、緊張したから駄目だなどとケチをつけてしまいがちです。減点法で評価することはありません。

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