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2022年12月30日 (金)

神経質礼賛 2060.雨のち晴

 先月は病棟でのクラスター発生で大揺れだった。今月は5人の常勤医のうち2人が家族感染の濃厚接触者や陽性者になってしまって出勤停止。残りの医師で仕事を分担しなければならなくて、毎日外来診察しているような状態で目の回るような忙しさだった。新型コロナが始まって丸3年。なかなか終わりが見えてこないけれども。これが永久に続くことはありえない。いつかは必ず終息するはずだ。雨のち晴になるだろう。
 明日の大晦日は朝から出勤で日直当直。病院での年越しは二十数年ぶりのことだ。もうひとがんばりだ。

 昨日はしばらくぶりに友人と合奏した。バッハのVn協奏曲第2番→メンデルスゾーンのVn協奏曲→モーツァルトのVnソナタハ長調と休みなく一気に全曲弾き続けた。休憩のコーヒーブレークではドイツの土産話を聞かせてもらい、最後は小品を弾いた。「1月のピアノの会の練習会でまたやらないかい」と言われて、フランクのVnソナタ第4楽章を弾くことがあっさり決まった。ピアノパートは難曲である。Vnパートも油断はできないので練習しておこう。

 当ブログはもうすぐ18年目に突入します。当初はいつまで続くだろうか、もうやめて全部消去してしまおうかと思ったことも何度かありましたが、まだまだ続いていて、今ではすっかり生活の一部になっています。まさに「神経質は重い車」。なかなか動かないけれども一旦動き出したら簡単には止まりません。今年もお読みいただきありがとうございました。よいお年をお迎えください。

 

2022年12月29日 (木)

神経質礼賛 2059.自分への御褒美

 頑張った自分への御褒美、という言葉をよく聞く。皆さんは何を想像しますか。ちょっと贅沢な料理やスイーツ、欲しかった服や宝飾品、海外旅行は無理でも近場の温泉旅行・・・。新型コロナで我慢続きの毎日。気持ちをリフレッシュしてモチベーションを高める効果がある。生活予算の範囲内ならばたまにはいいだろう。

 私が最近買った自分への御褒美はヴァイオリンの弓である。通常、弓はブラジル産のフェルナンブーコという硬い木で作られている。近頃は1本1~2万円位からC国製の安価なカーボン弓が出回っていて、エレキバイオリン用に1本持っている。YAMAHAが1本36万円の高級カーボン弓を販売していると知った。しかし、その価格ではちょっとなあ、というのが率直なところ。4万円の廉価版もそこそこ評判はいいようだ。そこで、両者の中間モデルYBN100を買うことにした。重量が3種類から選べる。重い62gを選んだ。普段メインで使っている弓は64gある。実際に使ってみると、スピカートやフライングスタカートといったいわゆる跳ね弓のコントロールが楽である。なかなか弾きやすく外観も優れている。これで何年も楽しめるのであればいい買い物かなと思う。

 ただ、一ついけないのは、箱のクッションである。弓の先端のチップは衝撃に弱く、傷みやすい。だから普通は弓が入っている箱は先端部分にスポンジなどのクッション材が入っているものだ。買ってしまえばケースに入れて保管するから問題ないけれどもそれまでの間に傷めるおそれがある。このあたりはもう少し神経質になってくれないと困る。YAMAHAさんはピアノと金管楽器では世界的なメーカーだけれども弦楽器はまだ日が浅い。これからに期待しよう。

 

2022年12月25日 (日)

神経質礼賛 2058.鎌倉殿の性格

 今年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が完結した。今まで脚光を浴びることのなかった鎌倉幕府二代執権の北条義時を主人公としていた。そのため、ここ1年間は義時や姉の政子(便宜的な名前であり本当の名前は知られていない)に関連したTV番組が多かった。私はドラマの方は見ていなかったが、ネットニュースに関連記事が流されるのは読んでいて、権力闘争の中で今度は誰が殺されるのかという話題からドラマの進行状況を推測していた。義時は源頼朝の黒子として、頼朝の弟たち、そして有力御家人たちを次々と粛清していった。いつしか義時自身も頼朝の手法を継承していて、頼朝の死後、頼朝と政子の長男・二代将軍頼家を修禅寺に幽閉して暗殺する。頼朝の死についても従来から暗殺説があり、義時は「容疑者」の筆頭である。ある研究者が「鎌倉幕府は暴力団関東組」と評するように、以後も有力御家人たちの血なまぐさい謀殺が続き、北条家が抜きんでた存在となるのである。ドラマの最終回だけは見た。承久の乱の後、義時は病に倒れるが、これは後妻による毒殺だったという説に基づいた話になっていた。そして、政子から頼家の死について問われて、病死と報告していたのは嘘であり、自分の配下が暗殺したことを告白する。題名の「13人」は合議制の御家人の数であるとともに、粛清された人の数という二重の意味を持っていたことが示されて義時が亡くなりドラマは終わっている。

 私が毎回ビデオに録って見ている番組「偉人・素顔の履歴書」(BSイレブン・土曜日放送)でも源頼朝、北条義時、政子が取り上げられた回があった。頼朝の回では精神科医の岡田尊司さんが登場し、頼朝は妄想性パーソナリティ障害だった可能性があることを説明しておられた。猜疑心が強く、人の言動や行動を曲解して攻撃されたと思い込みやすい人格ということだ。ヒトラーやスターリンといった独裁者、あるいは新興宗教の教祖に多いとされる人格である。長く流人として監視され、いつ殺されてもおかしくない生活が長く続いているうちに確かにそういう面が膨らんでいってもおかしくない。私は頼朝の性格(769話)はもう少し健常人寄り、神経質に近い部分を持っていたのではないかと考えている。行動は慎重で心配性な面が見え隠れする。以仁王(もちひとおう)による平家打倒の令旨(りょうじ)にも最初は動かず、令旨を受けた者は討たれるということでやむなく挙兵している。挙兵に失敗して安房の国に逃れ、ごく短期間に関東の豪族たちを従えて鎌倉殿になれたのも、令旨を利用したハッタリだというが、このあたりは北条時政・義時親子らの策にうまく乗ったからではないだろうか。流人だった頼朝には元々の家臣がほとんどいない。後からついてきた御家人たちも元々は領地をめぐって激しく争いあってきているのでお互いにあることないことを頼朝に言いつけて、相手を陥れようとしたのが粛清劇になり、時政・義時に利をもたらした。そして、政子には頭が上がらず恐妻家とも言えるのはやはり神経質の特徴ではなかろうかと思う(笑)。

 

2022年12月22日 (木)

神経質礼賛 2057.忘年会代わりの弁当

 コロナの影響で忘年会をしないという職場が多い。勤務先の病院でも忘年会はなく、その分、持ち帰り弁当が配布される。おととし・去年は同じような和風弁当だった。大半の職員は車通勤だからいいが、私のように電車通勤では持ち帰るのが大変である。横にしたら汁がこぼれる可能性があるし、ひっくり返したら大変なことになる。せめてコンビニ弁当サイズだといいのだけれど。今年の弁当のサイズは横24×奥行24×高さ4cm。このサイズで水平を保って運べる袋はまずないだろう。浜松から電車で通っている薬剤師さんは神経質を生かしてビニール風呂敷を用意しておられた。さらには作っている店の名前もなければ消費期限も書いていないことも指摘しておられた。私は普段の通勤バッグに大小のエコバッグを入れているけれども対応不能。結局そのまま手で持って移動である。ホームで電車を待つ時間が普段より長く感じられる。さらに駅から自宅まで歩いている間、何度か左手と右手で持ち帰る。

 夕食は普段通りに準備してくれてあったので、プラスアルファにと弁当を開けてみる。今回は洋風弁当だった。9区画になっていて小さなハンバーグ、野菜、フライ、オムレツ、御飯などが入っている。やけに隙間が多いような気がする。妻が一見して「何よこれ、全部冷食じゃないの!」「後でゴミが出るし、今度から持って来ないでよ」とバッサリ。味もスーパーの弁当未満であり、何とも残念な存在になってしまった。次回は駅の待合室の隅でやっつけてしまうとしよう。

 

2022年12月18日 (日)

神経質礼賛 2056.薬の出荷停止

 今、精神科の外来で処方できない薬が出て困る、という現象が起きている。以前にも大手ジェネリック薬メーカーの不正が発覚して生産停止となり、一部の薬が処方できずに困る事態はあった。今回は、原料を供給している海外のメーカーが、その国の政策で新型コロナ関連薬の生産に注力することになったため、供給がストップしているのが原因である。供給停止となっているのは田辺三菱製薬・吉富薬品のビペリデン塩酸塩という抗パーキンソン薬だ。あまりなじみのない方が多いと思うが、古くから統合失調症治療薬の副作用止めとして使われている。統合失調症の治療薬は幻覚妄想を抑えるためにD(ドーパミン)2という受容体を遮断するが、そうなると手の震え、筋固縮、流涎、すくみ足などのパーキンソン症状が出やすくなるので、それを防ぐ薬として用いられている。最近の抗精神病薬は以前のものに比べて副作用が軽くなっていて、抗パーキンソン薬なしでも使えることが増えているけれども、古くからの患者さんだと処方薬を替えにくく、どうしてもその薬が必要な場合がある。調剤薬局の在庫が厳しくなっていて、薬剤師さんからは減量あるいは中止して下さい、と言われているが、急に止めるわけにはいかないので、とても困っている。患者さんとよく相談して、減量・中止できそうな人だけそうしている。同じ会社のヒベルナ(一般名プロメタジン塩酸塩)もやはり出荷制限がかかっている。ビペリデンと同様、抗パーキンソン薬であるとともに、抗ヒスタミン剤でもあり、風邪薬の鼻水止め成分である。

 漢方薬でも在庫切れのため処方できなくなっている薬があり、精神科で時々処方する柴胡加竜骨牡蠣湯が処方不能となっている。葛根湯が新型コロナ感染症の症状軽減に役立つというようなことが言われて、一部で品薄になっているという話も聞かれる。

 医療費削減のためジェネリック薬への切り替えが進んでいるが、安く作るために海外からの原材料輸入に頼ることになり、急に何かの事情でそれがストップすると生産停止になってしまい、その薬を使っている患者さんが困ることになる。食料品と同様、薬も国内での自給率を高める必要があると思う。

 

2022年12月15日 (木)

神経質礼賛 2055.今年の漢字は「戦」

 日本漢字能力検定協会から「今年の漢字」が発表される頃になると、もう今年も終わりが近くなってきたなあ、と感じる。清水寺で大きな筆で書かれた文字は「戦」だった。今年に入ってロシアがウクライナに仕掛けた侵略戦争は終わりが見えてこない。一方的なミサイル攻撃、無人機やドローンによる攻撃は常に一般市民を標的にしている。一人の独裁者の自己愛を満たすために多くの命が失われ、市民生活のための施設が破壊され続けている。そして、世界的な小麦不足を招き、飢餓の輪を広げているのである。別の戦、サッカーW杯は世界中の人を楽しませてくれて、こういう戦はいいだろう。新型コロナとの戦はまた来年に持ち越しである。外来患者さんでもコロナに感染してしまって受診できないから電話再診にしてほしい、という人がポツポツいる。職員が濃厚接触者さらには陽性者になって休むため人員のやりくりが大変になっている。そう言っているうちに、ついに常勤医の出勤停止者が出てしまい、私にもしわ寄せが来ている。社会的にはコロナと共生らしいが、医療現場では戦が続いている。

 神経症に悩む人たちも毎日が戦である。この症状さえなければ、と考えて、症状をなくそうと努力をする。しかし、それはかえって症状への捉われを深めて悪循環を招く。神経症の人の本来の主戦場は「いまここで」・・・日常生活の一コマ一コマなのである。症状はつらいけれど、それはそのままにして、目の前のやらなくてはならないことに一つ一つ取り組んでいく。いつしか自縄自縛の縄がほどけて消えていく。

 

2022年12月11日 (日)

神経質礼賛 2054.KYT 危険予知トレーニング

 勤務先の病院では毎月職員研修があって、全員参加しなくてはならない。とは言っても勤務日の関係で参加が難しい人もいるので、同じ内容の講習を数回行なっている。参加できなければ動画を見て下さいということもある。ごていねいに確認テストまで実施してくれることもある。今月はKYT(危険予知トレーニング)という内容で大手ベッドメーカーの人が講師だった。事故が起きる前に院内や日常業務の中に潜んでいる無数の危険の芽を摘み取り、安全を先取りしよう、というものである。患者さんが多くの時間を過ごすベッド周辺には危険がいっぱいであり、転倒・転落事故が起きやすい。

 講義の中ではベッド周辺の写真が提示され、危険と思われる箇所を指摘させ、対策を考える、ということが行われた。例えば、ゴミ箱がベッドから離れているので、ゴミを捨てる時に身を乗り出してベッドから転落するおそれがある、とか、靴下を履いているので、立ち上がった時にタイルの上で滑って転倒するおそれがある、といった具合である。そして、そうしたものの危険度を評価し、対策を考える。もちろん、ベッドメーカーさんであるから、転倒・転落防止、あるいは衝撃軽減のためのツールをさりげなく宣伝していた。

 危険予知ということでは、神経質人間は天性の能力を持っている。危ないところを見つけて不安がる。こうなったらどうしよう、ああなったらどうしよう、とすぐ考える。何も考えずに無謀に突っ込んで失敗することはまずないので、それはそれでよいことだけれども、あまりやり過ぎると、考えてばかりで行動が遅れてそれも困る。対策を考えてトラブルが起きないように気を付けながら一歩一歩進んでいくことが大切である。

 

2022年12月 8日 (木)

神経質礼賛 2053.渡辺徹さん急逝

 渡辺徹さん(享年61)急逝の報には驚いた。特に敗血症で亡くなられたという件について、どうしてだろう、と思った。抗がん剤治療などで免疫力が低下した状況で起きることである。その後の報道では、長年糖尿病を患っておられ、ここ数年は糖尿病性腎症による腎不全から週3日人工透析を受けていて、心臓の手術も受けていたとのことである。糖尿病を長く患っていると全身の血管に悪影響を及ぼして動脈硬化や網膜症や腎症や神経障害をきたすとともに、免疫力が低下して感染症が重症化しやすい。歴史上の人物では藤原道長が晩年は糖尿病の合併症に苦しみ、死の恐怖からパニック障害をきたしていたと思われることは413話に書いた通りである。渡辺さんの場合も感染症への抵抗力が低下していて、敗血症に到ってしまったのだろう。

 渡辺徹さんと言えば、TVドラマ「太陽にほえろ」の刑事役で人気を博した人である。明るく庶民的な人柄で、奥さんの榊原郁恵さんとともに好感度が高いタレントさんだった。芸能人の中では将棋が強かった。近年は大学でも講義をしていたようだ。私はNHK-FMの「おしゃべりクラシック」という番組を楽しく聴かせてもらっていた記憶が大きい。この番組でのパーソナリティは8年間も続いた。

 晩年はまさに満身創痍の状態でもそれを全く見せずに活躍しておられたのには感服する。まさに「己の性(しょう)を尽くす」である。亡くなるには早過ぎてとても残念ではあるけれども、見事に生き尽くしたと言えるだろう。合掌。

 

2022年12月 4日 (日)

神経質礼賛 2052.番狂わせの心理

 4週間に1回外来通院していて、いつも表情をあまり見せず話が極端に短い人がいる。うまいこと仕事は続いているようなので、前の主治医の先生が処方されていた薬を変更せずに続けている。サッカーが好きで清水エスパルスの大ファン。時々スタジアムに応援に行くが、今年はJ2降格が決まってしまい残念な思いをした。そんな彼が一昨日に外来を受診した時には嬉しそうな表情を見せた。サッカーW杯の日本対スペインの試合をTVで見ていたそうだ。スペインは強豪で勝てる見込みは少なかったが、日本は奇跡的ともいえる逆転勝ちを収め、決勝トーナメント進出を決めたのだ。それに気を良くしたか、珍しく薬に注文をつける。「朝と夜の薬を1回にまとめてもらうことができますか?」と。1日1回服用で問題のない薬なので、彼の希望通りに変更した。

 私は試合経過を見ることはなく、ニュースで結果を知り、ハイライトシーンを見るだけである。初戦のドイツ戦にしても、今回の第3戦スペイン戦にしても、ヨーロッパの人たちから見たら「番狂わせ」だろう。日本にしてみれば負けて当たり前の相手である。しかし、徹底的に粘って食らいついた。スペインの方が圧倒的に長時間ボールをキープしていたけれども、当然勝てると思っていたのになかなか2点目が取れず、だんだん焦りが出てきたのだろう。こういう時に番狂わせが起きやすい。ダメで元々、それでもやれるだけやってやろうと無心で当たって来る相手にやられてしまうのだ。まさに「勝つと思うな、思えば負けよ」である。逆に日本の第2戦では第1戦の流れからコスタリカには勝てるという雰囲気が流れていたがそれが災いした面もあったかもしれない。もちろん、勝敗は結果がすべてであり、勝ったものが強いということにはなるが。

 神経質人間は何事も悪く考えてしまい悲観しやすい。しかし。ダメ元で食らいついてとにかく粘っていればどこかに勝機はあるものだ。あきらめずにやってみようではないか。

 

2022年12月 1日 (木)

神経質礼賛 2051.グレン・グールド生誕90周年・没後40周年

 先週の土曜日、家に帰ると、妻が今からちょっと買物に行ってくると言う。こんな時間に?と思うが、FMで「アート・オブ・グールド~孤独のピアニストの肖像~」という番組を2時から6時までやっているのをつい聞いてしまって買物に出られなかったと言ってそそくさと出かけていく。鍋の中にはこれから麻婆豆腐になるであろう挽肉と豆腐が入ったままである。わが家の麻婆豆腐はカレーのように皿に盛り、御飯と一緒にスプーンだけで食べる。ナスも入っていて、茹でたチンゲン菜も載っているからスタミナ料理として大歓迎である。買物から帰った妻が急いで作ってくれて、「先に食べていて」と言うので口にするが、「?」。いつもとまるで味が違う。妻も食べ始めて「何これ?まずい!」と。いつも入れている中華だしと味噌を入れ忘れていたという。グールドがわが家の麻婆豆腐に影響を与えるとは・・・。

 私がグールドを知ったのは高校生の頃。FM放送で初めて聞いたバッハのゴールドベルク変奏曲(最初のモノラル録音)に強い衝撃を受けた。繰り返しなし、ものすごく早いテンポ、独特な装飾音、弾きながらのハミング、バッハってこんなに自由に演奏していいんだ、と驚いた。そもそも不眠症治療のために作られたという話のあるゴールドベルク変奏曲だが、これでは楽しくてますます不眠になってしまうではないか。晩年の再録音ではテンポは遅くなっているが、味わい深い演奏になっていて、これまた魅力的である。

 翌日、私もネットの「NHKらじる★らじる」の聞き逃し配信を聞いてみる。グールドは種々の奇行で知られている。今回の番組のゲストの一人、ピアニストの熊本マリさんが若い頃グールドのマンションを訪れて少しだけ会えた時の話をしてくれた。追っかけのファンが多いので、逃れるためにいくつかのマンションを移動して暮らしていたそうだが、やはり神経質そうな人だったという。後で、マネージャーを通して、電話でメッセージをもらえたそうだ。人間嫌いと評されがちだが、本当は人との繋がりを求めている人だったと思われる。夏目漱石を愛読し、死の床には『草枕』が枕元にあったという話も紹介された。食べ物にはとてもこだわり、いつもビタミン剤や抗生剤を飲んでいたという話も伝わっている。グールドの名演奏も実は神経質のなせる業だったのかもしれない。

 

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