神経質礼賛 2055.今年の漢字は「戦」
日本漢字能力検定協会から「今年の漢字」が発表される頃になると、もう今年も終わりが近くなってきたなあ、と感じる。清水寺で大きな筆で書かれた文字は「戦」だった。今年に入ってロシアがウクライナに仕掛けた侵略戦争は終わりが見えてこない。一方的なミサイル攻撃、無人機やドローンによる攻撃は常に一般市民を標的にしている。一人の独裁者の自己愛を満たすために多くの命が失われ、市民生活のための施設が破壊され続けている。そして、世界的な小麦不足を招き、飢餓の輪を広げているのである。別の戦、サッカーW杯は世界中の人を楽しませてくれて、こういう戦はいいだろう。新型コロナとの戦はまた来年に持ち越しである。外来患者さんでもコロナに感染してしまって受診できないから電話再診にしてほしい、という人がポツポツいる。職員が濃厚接触者さらには陽性者になって休むため人員のやりくりが大変になっている。そう言っているうちに、ついに常勤医の出勤停止者が出てしまい、私にもしわ寄せが来ている。社会的にはコロナと共生らしいが、医療現場では戦が続いている。
神経症に悩む人たちも毎日が戦である。この症状さえなければ、と考えて、症状をなくそうと努力をする。しかし、それはかえって症状への捉われを深めて悪循環を招く。神経症の人の本来の主戦場は「いまここで」・・・日常生活の一コマ一コマなのである。症状はつらいけれど、それはそのままにして、目の前のやらなくてはならないことに一つ一つ取り組んでいく。いつしか自縄自縛の縄がほどけて消えていく。
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