神経質礼賛 2061.ソフト森田始動
三島森田病院に勤務している間に最後の一冊を出版する計画でいた。デイケアで行っていた「生活に役立つワンポイント森田」(1229話)をさらに発展させて本にしようという心づもりだった。ところが、予想もしなかった事態が発生して三島森田病院を去ることになり、このところの新型コロナ対応もあって、頓挫を余儀なくされた。それでも、神経質の虫がうずいて原稿をまとめ始め、暮れには出版社に依頼した。おそらく今年中には『ソフト森田療法』として世に出せることになるだろう。前作『神経質礼賛』の半分程度の軽い内容で、字体を大きくして御高齢の方々にも読みやすくする予定である。
前作は神経質性格や神経症に悩む方やその御家族を読者として想定していて、全国の大学図書館や都道府県立図書館、地元静岡県内の市町村立図書館に寄贈した。ところが、意外にも「図書館にあったから読んでみたよ」「役に立った」「よかったよ」というような声を寄せて下さったのは統合失調症で通院している患者さんたちだった。森田療法の考え方は神経症だけでなく、多くの方々の役に立つものだと痛感した。
森田療法は神経質性格の持ち主には特にシャープな効果を示す。しかし、本質は治療法と言うより人間教育であり、日常生活の中で幅広く人々に役立つものだと思う。佛教大学名誉教授にして三聖病院で長年森田療法に関わってこられ京都森田療法研究所を主宰されている岡本重慶先生は森田療法の本質は「神経症に限らず、万人が人生の「苦」に向き合って生きる智恵」であると看破されている。認知行動療法ばかりが脚光を浴びてもてはやされている昨今だが、一石を投じることができたらと思っている。
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四分休符様
神戸のクヌギタと申します。
僕も先生のブログを読むことが、すっかり生活の一部となっています。
今年も楽しみにしております。
新著も楽しみです。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
追伸
グールドや漱石や森田童子さんについてのブログのときにコメントしようとしたのですが、いつも文章をまとめたり、チェックしたりするのに時間がかかり、けっきょく送信せずに終わってしまいました。
ちなみに僕は、ジャズやJ-POPのレコード&CDをよく聴いていますが、グールドが演奏したベートーヴェンのピアノ・ソナタ集(第8番・14番・23番/’66 ’67年録音)も大好きです。僕にとって、彼の演奏が、これらのピアノ・ソナタのスタンダードとなっています。いつ聴いても何度聴いても、こころに響きます(あと、クラシックでは田中希代子さんの演奏も大好きです)。
投稿: クヌギタ | 2023年1月 1日 (日) 15時25分
クヌギタ 様
コメントいただきありがとうございます。
今もレコードを聴いていらっしゃるのですね。私はだいぶレコードは処分してしまいましたが、気に入ったレコードは捨てがたく、デジタル音源化してはあっても、残しています。レコードの扱いは神経質が一番です。近頃はレコードの良さが見直されていますね。
好きな曲、そして好きな演奏があるというのは財産だと思います。
いつもお読みいただきありがとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
投稿: 四分休符 | 2023年1月 1日 (日) 21時37分
『ソフト森田療法』をご上梓されたら、私も読みたいと思います。
私は認知行動療法のカウンセリングの手前の心理テストですでにダメでした。一つ一つにひかかって、進めませんでした。今はもう森田療法の言葉を意識することはないですが、振り返ってみると、いやいやながら不安なままに手をつける、など森田的生活態度でなんとか過ごす期間の連続かもしれません。といっても、大した仕事をすることはできず、わが身のための些事に過ぎませんが。
投稿: | 2023年2月25日 (土) 14時12分
コメントいただきありがとうございます。
たとえ些細な事であっても、一歩前進、少しでも手を付けてみる、それが自分を変えてくれます。難しい理論は要りません。「何とか過ごせる」それでよいのです。
投稿: 四分休符 | 2023年2月26日 (日) 08時41分