神経質礼賛 2052.番狂わせの心理
4週間に1回外来通院していて、いつも表情をあまり見せず話が極端に短い人がいる。うまいこと仕事は続いているようなので、前の主治医の先生が処方されていた薬を変更せずに続けている。サッカーが好きで清水エスパルスの大ファン。時々スタジアムに応援に行くが、今年はJ2降格が決まってしまい残念な思いをした。そんな彼が一昨日に外来を受診した時には嬉しそうな表情を見せた。サッカーW杯の日本対スペインの試合をTVで見ていたそうだ。スペインは強豪で勝てる見込みは少なかったが、日本は奇跡的ともいえる逆転勝ちを収め、決勝トーナメント進出を決めたのだ。それに気を良くしたか、珍しく薬に注文をつける。「朝と夜の薬を1回にまとめてもらうことができますか?」と。1日1回服用で問題のない薬なので、彼の希望通りに変更した。
私は試合経過を見ることはなく、ニュースで結果を知り、ハイライトシーンを見るだけである。初戦のドイツ戦にしても、今回の第3戦スペイン戦にしても、ヨーロッパの人たちから見たら「番狂わせ」だろう。日本にしてみれば負けて当たり前の相手である。しかし、徹底的に粘って食らいついた。スペインの方が圧倒的に長時間ボールをキープしていたけれども、当然勝てると思っていたのになかなか2点目が取れず、だんだん焦りが出てきたのだろう。こういう時に番狂わせが起きやすい。ダメで元々、それでもやれるだけやってやろうと無心で当たって来る相手にやられてしまうのだ。まさに「勝つと思うな、思えば負けよ」である。逆に日本の第2戦では第1戦の流れからコスタリカには勝てるという雰囲気が流れていたがそれが災いした面もあったかもしれない。もちろん、勝敗は結果がすべてであり、勝ったものが強いということにはなるが。
神経質人間は何事も悪く考えてしまい悲観しやすい。しかし。ダメ元で食らいついてとにかく粘っていればどこかに勝機はあるものだ。あきらめずにやってみようではないか。
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