神経質礼賛 2078.こころの休符
外来に通院している看護師さん。うつになった妹さんを自分のアパートに連れてきて面倒を見て、パワハラ傾向の上司やらお局様的先輩たちのいる職場で指示に従って頑張り続けているうちについに自分がダウンしてしまった。適応障害である。しばらく仕事を休んで元気を取り戻し、同じ病院の別の部署に配属してもらって復職し、今のところ順調である。この人の場合、幼少時から親に「あんたはお姉ちゃんなんだから我慢しなさい、頑張りなさい」と言われ続けてきて育ったそうだ。仕事の上でもつい無理して頑張ってしまう癖がついていて、上司から仕事を頼まれると反射的に「できます」と言ってしまう。こういう人に頑張るように言うのは厳禁であり、「頑張らないようにしましょう。クビにならない60点スレスレを目指しましょうね」と繰り返しアドバイスしている。最近はゴルフに行って気分転換していると言う。「自分だけ仕事を減らしてもらって遊んでいていいのかなと思ってしまいます」「打たれ弱くなりました」と述べるが、弱くなり切ればよい。仙厓さんの「気に入らぬ 風もあろうに 柳かな」で外圧は受け流しながらボチボチやっていればよい。そして、生活の中に「こころの休符」を入れることも大切だ。
森田療法では行動本位、どんどん仕事に手を付けるようにという指導ばかりしていると思われがちだが、それはあくまでも考えてばかりいて行動が伴わない人への指導であって、本来は行動と気分のバランスが取れているのが一番である。森田先生御自身、お弟子さんと晩酌したり将棋を指したりしていたし、月1回の形外会でも、落語家を呼んで楽しんだり、ゲームをしたり、全員で東京音頭を踊ったり、ハイキングに出かけたり、とレクリエーション的な面もあった。適度な「遊び」も潤滑油として必要である。
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