神経質礼賛 2110.アプリ払い
高校同窓会の会報が春と秋に送られてくる。同窓会の集まりや部活OB会などの話題に加えて、春は教員の異動・大学合格者数の話題、秋はスポーツ大会、特に野球部の試合成績が取り上げられている。8ページの春号の後ろ3ページは卒業期ごとに同窓会維持費拠出者名が載せられている。そこに名前が載っているということは元気にしているということである。維持費は郵便局で払い込むのだが、今回の記事にはアプリ払いによる拠出者が別枠に記載されていた。後期高齢者の方々も利用されているようである。
「電子マネー」の記事(1393話)を書いてから7年ほど経った。その後、キャッシュレスに誘導するためのバラマキ政策が次々と打ち出されたこともあって、急速に普及してきた。ほとんど現金払いだった私自身、電車バス、セルフのガソリンスダンドだけでなく、スーパー、ホームセンターのプリペイドカードを作ってしまった。美術館も予約制になるとともに入場料はカード払いになってしまっては、それに従わざるを得ない。かつては年末から年始の間に現預金のチェックを行い、現金出納帳に記載もれがないか調べていた。たいてい、記載漏れによる不足が生じており、それを清算して新年を迎えていたものだ。もはやそれは不可能となっている。まだやっていないが、アプリ払いまで始めたら、ますますわけがわからなくなるのではないかと心配である。
「キャッシュレスの落とし穴」(1688話)に書いたように、キャッシュレスには死後の問題や認知症になった場合の問題がある。そうでなくても、財布の「見えない化」により、自分が一体いくら持っていていくら使ったのかわからなくさせる問題がある。金銭感覚を麻痺させてしまうのだ。プリペイド残額が少なくなって現金でチャージをする時には意識するけれども、オートチャージのアプリ払いではそうはいかない。ポイントの餌に釣られてついつい遣い過ぎてしまうことも起きやすい。外来の患者さんで浪費のために困ったことになっている人の話をよく聞く。神経質が足りないと大変なことになる。
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