神経質礼賛 2147.廃用症候群
病棟のコロナ感染が収まらず苦戦を強いられている。ようやく収まるかなというところで新たな発熱者が出て、検査するとコロナ陽性、ということを繰り返している。このため、感染者のいる区域との往来を遮断するのだが、理解できずに感染区域に入り込んでしまう患者さんもいて、徹底するのは困難である。感染拡大防止のため、やむをえず作業療法も縮小せざるをえない。作業療法士さんが付き添って、病棟から出て敷地内の散歩も中止されている。外出もやむを得ない事情のある場合を除き原則禁止だし、御家族の面会もできない状態が続いている。患者さんたちは日中も横になる時間が増え、活動量が大幅に減っている。一番懸念されるのが廃用症候群である。しばらく筋肉を使わないでいると、すぐに筋力が落ちてしまう。これは日常生活能力低下を招くし、転倒事故が起こりやすくなる。会話も減り、頭を使うことも少ないから、認知機能低下をきたしてしまう。介護施設や高齢者を多く抱える精神科病院では深刻な問題である。感染が収まり次第すみやかに正常化させていく必要がある。
うつ病になったのをきっかけに「うつは休め」を金科玉条としているうちに廃用症候群に陥る人もいる。寝れば寝くたびれる(1559話)そのものである。神経症もしかり。「神経質が自己の苦悩のうちに埋もれて布団を被って寝ておれば、心身の機能は沈下低減していくのは自然の帰結である」という森田先生の高弟・古閑義之先生の言葉の通りである。多少の苦痛はあっても身の回りのことは自分でやっていくことが自分自身を救うのである。
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