神経質礼賛 2158.秀吉の最期
大河ドラマ・どうする家康の前回は「太閤、くたばる」という題で、豊臣秀吉の最期が描かれていた。ドラマでは主人公を引き立てるライバルキャラクターは悪人として描かれやすい。従来のドラマでは家康が腹黒い狸親父として描かれることが多かったが、今回のドラマでは逆に秀吉の狡猾さをムロツヨシさんが見事に怪演していた。さらに茶々(淀殿)には衰弱した秀吉に「拾(秀頼)は、あなたの子だとお思い?」という爆弾発言を吐かせ、それを上回る人物として描いている。秀吉は長年、非常に数多くの女性と交わっていながら子供はできず、晩年になって茶々だけが懐妊したのはおかしいということで、すでに当時から本当の父親は誰か、という話が出ていた。医学的には男性不妊であり、秀頼が秀吉の子である可能性はほぼゼロである。秀吉は有名な醍醐の茶会を開いて間もなく病に伏せるようになり、半年も経たずに亡くなっている。死因は何だったのだろうか。労咳(肺結核)説、腎虚説、脳梅毒(神経梅毒)説、大腸癌説、毒殺説などがあり、決定打はない。ドラマでは喀血しており、肺結核を思わせ、労咳説を採用していた。もしも脳梅毒だったとすると精神症状が説明しやすいが、そうだとしたら、茶々や秀頼も感染していた可能性が高いので、ハズレであろう。晩年に無謀な朝鮮出兵や後継者だった甥の秀次を切腹に追いやりその妻子や侍女たちを皆殺しにして晒したような行為は、血管性認知症によるいわゆる「まだら痴呆」あるいは軽度認知障害に伴う妄想に基づくものだと私は考えている(『家康その一言』p.10)。
のちに天下を取った家康が神経質で自身の健康にとても気を配っていたのに比べると、秀吉は健康には無頓着で不摂生を続けて、自ら寿命を縮めてしまったと言えるだろう。そして、そのために豊臣の天下は短命で終わってしまったのである。最後に笑うのは神経質だった。
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