神経質礼賛 2177.どうする家康完結
今年の大河ドラマ「どうする家康」は最終回が放送された。平均視聴率はワースト2位を記録してしまったそうだ。最初のうちはアイドルの「学芸会」の嫌いもなきにしもあらずで、フィクションの入れ過ぎが気になったけれども、エンターテイメントとしては悪くない。徳川家康=狸親父という固定観念が一般に広まってしまっているが、実は神経質でビビリだったことを当ブログでは繰り返し書いてきた。今回のドラマでは心優しくも気弱な竹千代少年→松平元康→徳川家康が家臣たちに助けられて度重なる難局を乗り越えて成長し、平和な社会の構築を成し遂げるまでを、弱い部分にも光を当てて描き切っていた点は評価できると思う。これが信長や秀吉のような大天才だったら成し遂げられなかっただろう。自分の弱さを知って、凡人であると自覚し、弱くなりきって(2090話)周囲からの意見に耳を傾けたからこそ実現できたのではなかろうか。
ドラマの家康の最期の場面では、夢の中に妻の瀬名と嫡男の信康が現れ、戦のない世を構築するという大事業を成し遂げた家康にねぎらいの言葉をかける。この二人に非業の死を与えてしまったことを神経質な家康はずっと心の中で悔やみ続け、罪の意識に悩んでいたはずだ(1515・1516・2122話)。しかし、二人の犠牲がなければ信長あるいは秀吉に滅ぼされていた可能性も高く、結果的には戦のない世の人柱になってくれたのだ。彼らの言葉に救われた思いがしたことだろう。そして場面はさらに遡り、信康のもとに信長の娘・徳姫(五徳)が嫁入りしてきた日。家臣たちと楽しく酒を酌み交わし、瀬名と将来の夢を語り合う幸せな日を回想しながら旅立っていった。いいエンディングだったと思う。
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