神経質礼賛 2181.ホルスト生誕百五十年
今年は昭和で言うと昭和99年に当たる。私が小学5年生の時、明治百年と言われ(1968年)、記念式典が開かれ、それにちなんだ地名や建物名が付けられた。「明治は遠くなりにけり」とも言われたものである。ということは、来年はそうした行事が行われるのだろうか。そして、「昭和は遠くなりにけり」と言われるのだろうか。
さて、今年が生誕あるいは没後の記念年にあたる作曲家を調べてみる。生誕200年がブルックナー(401話)とスメタナ。生誕150年がホルストとシェーンベルク、生誕100年が團伊玖磨。没後100年がフォーレとプッチーニ(374話)である。それにちなんだ演奏会が行われることだろう。
クラシックは全く聞かないという人でも知っているのがグスタフ・ホルスト(1874-1934)の組曲「惑星」、特に中間部に日本語歌詞が付けられて歌われている第4曲「木星」・・・「ジュピター」である。雄大なこの曲もいいけれども、私は第2曲の「金星」が好きである。野原に寝そべって満天の星を眺めているところを連想して、心が休まる思いがする。第7曲「海王星」は舞台裏からかすかに聞こえる女声合唱に送られて太陽系を離れていく宇宙船を想像してしまう。ホルストの名曲は惑星だけではない。ブラスバンドの定番曲となっている吹奏楽のための組曲第1番・第2番も親しみやすい曲だし、弦楽合奏のセントポール組曲もとてもいい曲である。ホルストの作品にはイギリス・スコットランド民謡の影響を受けているものがあり、その点も日本人の耳に馴染みやすい音楽なのだと思う。作品の中には日本人から依頼されて作ったバレエ音楽の「日本組曲」もある。実生活は30年間ロンドン西部のセント・ポール女学校の音楽教師をしながら合唱曲などの作曲活動を続け、出血性胃潰瘍のため亡くなっている。顔写真の印象も神経質そうである。
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