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2024年1月14日 (日)

神経質礼賛 2186.江戸LIFE展

 昨年11月から静岡市東海道広重美術館で江戸LIFE展という企画展が開催されている。見に行こうと思っていてなかなか行く時がなく、残り10日というところで慌てて行ってきた。特産物の桜エビ漁で有名な由比の町にある。静岡市街地からだと電車と徒歩でも車でも四、五十分かかる。浮世絵版画の制作工程の展示があり、子供が小学生の時に連れて行って、それ以来である。

 静岡から清水に向かって車で行くと、正面に富士山が大きく見えて気持ちがよい。カーナビのない古い車ながら、事前にルートを調べておいたので順調に到着する。美術館は由比本陣公園の中にある。かつては、道路の海側に宿場町の展示館・お土産屋があって二階の食堂で海を眺めながら桜エビのかき揚げ蕎麦を食べることができたが、現在は閉店となり、住宅になっていた。道路脇の水路には三匹の亀がいた。一匹は水から上がって甲羅干しをしているようで首を引っ込めて全く動かない。美術館の受付で検温して手指を消毒してから入館する。今回の展示では四季・仕事・娯楽などにまつわる版画が展示されていて、江戸時代の庶民の暮らしぶりを感じることができた。戦乱のない世になって、花見や花火や名所めぐり・寺社詣を楽しめるようになった。歌舞伎や浄瑠璃の名場面や役者絵の版画も出回った。浮世絵の価格は現在の貨幣価値で五百円ほどだったというから、庶民も気軽に買って楽しむことができた。現金販売の呉服屋が人気を集め、客で賑わう店の様子を描いた版画は店とタイアップした作品だろうか。髪を洗ったり、歯磨きをしたり、子供たちが遊んでいたりする日常場面の版画も展示されていて、江戸の生活を感じることができた。

 美術館を出た所にある売店でコーヒーを飲み、道路に出てみると、先ほど甲羅干しをしていた亀は今度は首を長く伸ばしていたまま止まっていた。「そんなに焦って生きなくたっていいんだよ」と言っているようだった。

 

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コメント

 四分休符先生

 富士を眺められる地に住んでおられ、そして富士の山を目印に車を走らせる事が出来る地に住んでおられる先生、とても羨ましいです。
 
 私は浮世絵が好きです。ミーハーですけれども。NHKで浮世絵を元に現代の地を歩くという番組が有りました。楽しく見ていたものです。そして今、高田郁の時代小説を読んでいます。浮世絵から離れますが、料理人だったり呉服商の女将だったり。江戸時代。読み易いです。氏の現代エッセイも好きです。多分発刊されている全てを読んでいると思う程に氏の感性が好きです。で、私は往時を思い描く。

 ヒトは疫病との戦いというか、共に疫病と生きて繋げてきた、それがサピエンスの歴史と思っています。暮らしは現代によりいろいろな意味で大変であったと想うのです。生きる事≓働く、でしょう。灯火は大切でしたでしょうし。足にしても車は、無い。何日も掛けて江戸へ登った。だとしてもなにか、心の豊かさを感じさせます。保存が難しい食とてなんぼか今よりある意味素朴で豊かであったのではないか、新鮮であったのではないか、そんな風にも思えるのです。丁寧なもの作り。豊かさとはなんであろう、とさえ思います。  あれこれ考えたら尽きません。 先生は亀さんから感じとられたのですね...

 正月過ぎた自宅に掛けてある画は広重の木版画亀戸梅屋舗です。珍しくもないですが。

 四分休符先生

 追記です。

 ADEACをご存じでしょうか。ネット上の歴史考証とでも言いましょうか。
 創設当時は簡単なものでしたが、今はとても多岐に渡る参考になっています。
 江戸LIFE含め、往時の資料・消息の読み下しなど懇切丁寧な限りです。

 神経症・神経質とは全く関係がありません。

 返コメント不要です。  誠に申し訳ありません...

yukimiya 様

 コメントいただきありがとうございます。

 今ほど便利ではないにせよ、屋台の蕎麦屋
や寿司屋もあって、江戸LIFEもそんなに悪くは
なかったようです。浮世絵は庶民でも買えたよ
うですし。
 浮世絵は遠く離れたヨーロッパの画家たちに
大きな影響を与えていますし、ドビュッシーの
音楽にも影響を与えてます。江戸は世界一の
大都市でした。家康が江戸を本拠地にしなけ
れば江戸→東京の発展はなかったでしょう。

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