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2024年5月16日 (木)

神経質礼賛 2226.レジェンド

 掛川駅南口(新幹線口)にはいろいろな会社のタクシーが止まっている。一方、在来線ホームに近い北口のタクシー乗場にはほとんど一社のタクシーしか止まっていないことが多い。何でもそこはその会社しか客待ちしてはいけないことになっているという噂を聞いたことがある。それでももう一社のタクシーがたまに止まっていることがある。かなり年配のドライバーさんでいつもニコニコしながら話かけてくれる。別にスピードを出すわけではないが、不思議と信号で止まることが少なく、料金も他の人より大抵ワンメーター安い。カーナビなし、ベテランの技術と経験に裏打ちされた勘のおかげなのだろう。そして、レジェンドのドライバーだから他社の縄張りで客待ちしても苦情を言われることもないのだろう。昨日の朝は久しぶりにその人のタクシーに乗った。「良かったですよ。免許更新しましてね。認知症の検査も深視力の検査も大丈夫だったです。あと3年働けます。仕事があるっていいですねえ。家内が喜んでくれました。今までトラックやらバスやらいろいろ運転してきて60年になるけど最後はタクシーで終わりです」と、いつものニコニコ顔で話す。名もなきレジェンドたちが社会で活躍しているのは喜ばしい。

 精神科医の世界でも、こと精神療法に関しては歳を取ってさらに熟成していく部分がある。高良武久先生、鈴木知準先生、宇佐晋一先生といったレジェンドと言える往年の森田療法家たちは80代・90代でなお活躍しておられた。もしも森田先生が同じくらい長生きしておられたら「余の療法」はさらにどのように変貌していっただろうかと想像する。

 

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コメント


  四分休符先生へ
 
  名もなきレジェンドとはいい言葉。
  
  神経質は過ぎたる自己保護に陥ることなかりせば
 生きる欲望にのって、レジェンドになる素質。

  それは、国家とか、世界とかの方向ではなく、名もない
 庶民の生活へと向いていく。 

  駅前のタクシードライバーの笑顔のなかに、その生活の
 なかに神経質のこころ配りがいきている。

  その中から、大自然のいのちのいとなみへと繋いでいく
 神経質のありかた。

  高良、鈴木、宇佐といったレジェンドは良師。
 「夫れ、良師とは・・・・・・文字を先とせず、格外の力量有り、
 過節の志気有りて、我見に拘わらず、情識に滞らず、行解
 相応する。是れ乃ち正師なり」(「学道用心集」より)

  熟成のレジェンドに会えた幸せをかみしめる。

  (今回はそのように教えられ感謝の次第) 


神経質流儀 様

 コメントいただきありがとうございます。

 淡々と仕事を続けているうちに年輪を重ねていくこと
の尊さを感じます。河井寛次郎の言葉「手考足思」
(1206話)が身についている人が神々しく見えます。

 森田療法のレジェンドたちも魅力に溢れた方々だっ
たとつくづく思います。
 

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