神経質礼賛 2232.オーディオの変遷
作業所に通所している知的障害の男性。いつも外来診察には80歳位の父親がついてくる。楽しみはCDを聴くことだという。時々、父親に連れられて新しいCDを買いにいくのだが、父親が言うには「近頃CD屋さんがなくなってきて困っています」とのことである。確かにそうだなあ、と頷く。書店や楽器屋さんのCD売場はどんどん消えている。私もかつては秋葉原の石丸電気CD館で輸入クラシックCDを探すのを楽しみにしていたが、すでに2010年頃閉店している。デジタルオーディオが広がり、スマホで全部片付いてしまう世の中になってはCDも売れないだろう。音源はネットからダウンロードしてスマホに無線スピーカーを繋げば事足りてしまう世の中になっている。
義父はオーディオマニアでかつては自宅の応接間は防音工事をしてレコードプレーヤーや真空菅アンプや大型スピーカーを買い揃えて、ベートーヴェンやマーラーの交響曲を大音量で聴くのを楽しみにしていた。ベッドサイドにはBOSEの小さなCDシステムを置いて使っていた。施設入所した際にオーディオ機器はすべて処分したが、このBOSEのCDシステムだけはそのまま施設に持ち込んだ。ところが、最近、不具合が出るようになって、何か替わりのものはないだろうかと相談された。家電量販店に行ってみると、オーディオのコーナーは縮小されて、以前たくさん並んでいたCDコンポは姿を消し、CDラジカセが申し訳程度に数台並んでいるだけになっていた。オーディオ不況のため生産中止が相次ぎ、国内オーディオ専業メーカーが倒産してしまっている。ネットで調べるとウッドスピーカー使用のJVC製の一体型CDシステムはまだ生産されているようなので、これを注文した。今度施設に行く時に届けようと思っている。レコード→FM録音したカセットテープ→CD→MD→ICメモリーと音源媒体は大きく変化したが、再生装置も随分変わったものだと思う。
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