神経質礼賛 2233.ふりをするだけでよい
仕事とはいえ、面倒だなあ、やりたくないなあ、ということはしばしばある。私の場合、仕事が次々と詰まっているから、嫌でも何でもやっつけなくてはならず、仕方なしにとにかく片付けている。「忙しいほど仕事がよくできる」(621・2089話)の通りである。しかし、もし十分に時間があったとしたら、あれこれ考えてちっとも進まないということになるだろうな、と思う。
森田正馬先生は作業について「興味が起らず時間がくるのを待つに過ぎない」「熱のない仕事ぶり、他の人がやっているからやるというに過ぎぬ」と日記に書いた患者さんに対して「それでよし。当然のこと」「それで上等、これを従順という」とコメントを書かれた。そして、形外会の場で次のように述べておられる。
仕事に熱がない。興味の起らない時には、ただ規則に示された通りに、他人の真似なり仕事のふりをしていてもよい。ただ規則に従っていさえすれば従順である。また腹はへらなくとも、イリ豆をちょいちょいつまんでいるうちに食欲がそそり出されるように、仕事でも素直に、いやいやながらやっているうちに、ツイツイ身が入って、興に乗ってくるようになる。この辺の気合を体得してもらわなければならない。(白揚社:森田正馬全集 第5巻p.396)
気分は乗らなくても、仕事のふりをしていればよい、そうしているうちに気分は後からついてくるというものなのだ。心をいじろうとしてもうまくいかないが行動は変えられる。理屈はともかく、やってみることだ。外相整いて内相自ずから熟す(1873話)。健康人らしく振舞っていれば健康になれるのである。
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