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2024年7月14日 (日)

神経質礼賛 2245.神経質は先天性か後天性か

 神経質は生まれつきのものなのだろうか。それとも生育環境や体験の影響で後天的になるものだろうか。森田先生は先天的な素因が大きいと考え、次のように述べておられる。

 九州大学の下田博士は、神経質は幼時の不良の教育により、親がその子を、気を小さく小さくしつけて、劣等感を起こさせるようにした結果であるといい、神経質の原因を、後天性の養育によるものと主張している。なお、神経質が治療によって、全治しうるのは、後天性であるが故であって、もし先天性ならば、治るはずがないという風に、僕の療法結果を、その後天性説の証拠にとっているのである。
 もとより、およそ強迫観念、またはそのほかの神経質の症状には、必ずその動機があるように、その後天性の影響が、はなはだ重大である事は明らかである。しかしながら、僕の神経質の療法は、皆さん御承知の通り、神経質の気質の特徴を発揮するのが主眼であって、その原因たる第一印象を取り除くとか、劣等感をなくすとかではなく、むしろその劣等感を徹底し、発揮するにあるのであるから、僕の療法で治るという理由をもって、神経質が先天性でないという証拠には、ならないのである。(白揚社:森田正馬全集 第5巻 p.442)

 「親がその子を、気を小さく小さくしつけて」という部分は自分にもよく当てはまる。子供の頃、母親から細かいことで叱られてばかりいた。友達と遊んで帰りが遅くなってしまった時などは家に入れてもらえなかったものだ。まず褒めてもらった記憶はなく、テストで90点だと、なぜ100点が取れないのか、と厳しく責められるのが常だった。だからマイナス思考の小心者になったのかもしれない。しかし、そういう育て方をしたのは、母親にも神経質な部分があったからだと思う。以前書いたことがあるが、母方祖父は鈴木知準診療所が静岡にあった頃、こっそり通院していたということを叔父から聞いた。その叔父ものんびりしているようで何かあるとドキドキしてしまう人であり、内科医院で抗不安薬を処方してもらっていた。母方は神経質の家系であり、一見、後天的のように見えても遺伝的な素因があるのだろうと思う。実際には先天的な素因と後天的な環境の両者が影響していると考えるのが自然ではなかろうか。いずれにせよ、神経質の特徴を長所に生かしていくところが森田療法・森田教育の妙味である。

 

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コメント


 四分休符先生

 神経質としての私のケース。

 私の父母は結婚して数年子供に恵まれませんでした。そこで相談の
上、母の甥を養子として迎えました。
 そしたら2年後、私が生まれました。私は高校3年生になるまでそのこ
とは全く知りませんでした。その兄を実の兄だと思っていました。
 父母は差別することなく、兄弟を同等に養育しました。


 ところが性格が全く異なり、私は小学校の時から自分は小さなことにこ
だわる内向的性格だと自覚していました。兄は全く典型的な外交的性格
でした。実の兄だと思っていたので、どうして全く同じ環境で育ったのに
このように性格が異なるか不思議に思っていました。
 実の兄ではないとわかって、なぞが解けました。そしてホッとした覚えが
あります。永年の謎が解けたように。

 父の弟、私の叔父になるのですが、この人も神経質性格で人前で話をす
ることが苦手でした。電話を極端に嫌いました。私は、この叔父の性格を遺
伝したのだと思います。

 従いまして、神経質は先天性か後天性かと問われれば、体験上、先天性
と答えざるを得ません。下田説より森田説に手を上げる派です。
 

 

神経質流儀 様

 コメントいただきありがとうございます。

 統合失調症は古くから双子研究・・・一卵性
双生児と二卵性双生児と統計的に比較する
・・・が行われていますが、神経質ではそこま
ではありません。
 私もどちらかと言えば、森田先生の御説を
推します。

 

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