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2024年8月 1日 (木)

神経質礼賛 2251.ナイスな強迫・藤原実資

 最近、藤原実資(957-1046)の日記『小右記』が古典としては異例の売れ行きだそうだ。大河ドラマではお笑い芸人の秋山竜次さんが演じて一人異彩を放っている。名門・藤原北家小野宮流を継承していて、有職故実に精通した学識人であり、長命を保ち右大臣にまで昇進している。賢人右府と呼ばれ、何事も筋を通す人で、権力者に媚びることなく正論を貫こうとする姿勢は好感が持てる。藤原道長からも一目置かれる存在だった。ドラマの中では家に帰って宮中での出来事を「大変だ、大変だ」とボヤキ続けるので、あきれた妻から「日記にお書きなさい」とたしなめられるのが面白かった。日記は60年ほどにわたり、以前から非常に貴重な歴史資料とされてきた。儀式の際にどちらの足を先に出すか、など正確に書かなければ気が済まなかたようで、記録魔であり、まさに強迫の人である。後日、子孫がそれを読んで役に立てばと思って書いていた部分もあるのだろう。こういう強迫は大いに結構である。道長の「この世をば」の有名な歌も小右記の記録のおかげで後世に伝わっている。

   紫式部が中宮彰子に仕えていた時期、中宮彰子が皇子を出産した祝いの席で他の貴族たちが酔いつぶれて騒いでいる中、実資だけが礼節を失わなかったのを紫式部が見ていて高く評価している。紫式部は実資から彰子への取次を担当していたので、小右記にも記録が残っている。実資が病に倒れた時には彰子からの見舞いの手紙を持って、実資の邸宅を訪れたこともあったという。実資は堅物で近づきにくい雰囲気もあったろうが、蹴鞠の達人でもあり、他の貴族たちと趣味での交流はあったようだ。

 

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