神経質礼賛 2280.「秋波」の読みと意味
10月29日付毎日新聞の一面見出しに「石破氏、躍進国民に秋波」と出ていた。今回の衆議院選挙で自民・公明両党の獲得議席が過半数を割り込み、石破首相が国民民主党との連携を狙っているという話だ。政治風刺漫画の格好のネタになりそうだ。何となくタイトルの意味はわかるけれども、そもそも「秋波」はどう読むのだろうか、そして元々の意味はどうなのだろうかと気になる。今までちゃんと調べたことがなかったと反省する。手持ちの電子辞書で「あきなみ」と入力しても<該当語なし>と表示される。「しゅうは」と入力すると出てきた。その意味は①秋の澄みわたった水波。②美人の涼しい目許(めもと)。③媚びをあらわす目つき。いろめ。ながしめ。となっている。
元々は中国語で①なのだそうだ。だから音読みである。周囲を紅葉で囲まれた禅寺の美しい庭園の池が頭に浮かぶ。そこから②に転じた。漢詩では「秋波」で女性の涙を表現した例もあるようだ。さらに③の意味で「秋波を送る」という表現になった。今ではもっぱら③の意味で使われることが多く、①や②で使われることはあまりないのではなかろうか。そして、若い人々には理解されにくい言葉だろうと思う。もしかすると10年・20年後には完全に死語になっているかもしれない。
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