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2024年10月31日 (木)

神経質礼賛 2280.「秋波」の読みと意味

 10月29日付毎日新聞の一面見出しに「石破氏、躍進国民に秋波」と出ていた。今回の衆議院選挙で自民・公明両党の獲得議席が過半数を割り込み、石破首相が国民民主党との連携を狙っているという話だ。政治風刺漫画の格好のネタになりそうだ。何となくタイトルの意味はわかるけれども、そもそも「秋波」はどう読むのだろうか、そして元々の意味はどうなのだろうかと気になる。今までちゃんと調べたことがなかったと反省する。手持ちの電子辞書で「あきなみ」と入力しても<該当語なし>と表示される。「しゅうは」と入力すると出てきた。その意味は①秋の澄みわたった水波。②美人の涼しい目許(めもと)。③媚びをあらわす目つき。いろめ。ながしめ。となっている。

 元々は中国語で①なのだそうだ。だから音読みである。周囲を紅葉で囲まれた禅寺の美しい庭園の池が頭に浮かぶ。そこから②に転じた。漢詩では「秋波」で女性の涙を表現した例もあるようだ。さらに③の意味で「秋波を送る」という表現になった。今ではもっぱら③の意味で使われることが多く、①や②で使われることはあまりないのではなかろうか。そして、若い人々には理解されにくい言葉だろうと思う。もしかすると10年・20年後には完全に死語になっているかもしれない。

 

2024年10月27日 (日)

神経質礼賛 2279.危うきに近寄らず

 このところ複数犯による強盗殺人事件が多発している。実行犯たちはSNSで「ホワイト案件」「資格不要」「運ぶだけの仕事」「1回で5万円(10万円)」などという誘い文句に釣られて応募した若者たちである。いきなり現場に連れて行かれ犯行を強要される。雇い主は不明であり、自分の個人情報は完全に知られているから従わざるを得ない状況になっている。被害者は銀行の暗証番号を言うまで暴行を受けて挙句の果てに殺されて大変気の毒であるが、軽いアルバイトのつもりで犯罪に手を染めてしまった若者たちも一生罪を背負って生きていかなければならなくなる。殺人や強盗傷害に至る点ではオレオレ詐欺よりもさらに悪質度が高い。

 世の中、そんなに簡単に高額報酬が得られる仕事があろうはずはない。学生アルバイトでも汗水たらして働いてもせいぜい1日1万円がいいところだ。本当だったら誰もがやっているはずである。これはおかしい、犯罪がらみの「仕事」だと考えるのが普通だろう。「運ぶだけ」で運ぶものは何だろうか、麻薬・覚醒剤などの違法薬物、銃器、もしかしたら殺された人の遺体ではないかと疑いたくなるところである。女性だったら売春を強要されたりアダルトビデオに出演させられたりするのではないかと心配するところだ。まさに「君子危うきに近寄らず」である。

 その点、神経質人間は心配性だから、最初から疑ってかかる。仮に誘い文句に惹きつけられたとしても、どうしようかと迷っているうちに時間がどんどん経っていき、実行に移さないことの方が多いので騙されにくい。だからといって油断は禁物である。オレオレ詐欺のように犯罪者たちは言葉巧みに罠にはめようと念入りに計算して近づいてくる。もしかして自分も騙されるかも知れないと普段から用心するに越したことはない。

 

2024年10月24日 (木)

神経質礼賛 2278.松本城

 先月、新聞折込の日帰りバスツアーのチラシに松本城があるのを見つけて、その日のうちに予約を入れ、この前の日曜日に行ってきた。松本城は徳川家康の重臣でその後、豊臣秀吉の家臣となった石川数正(2140話)とその息子・康長の城、そして数少ない国宝の天守が残っている城だから一度は見たいと思っていた。静岡から直接長野県方面に行くには電車は不便である。こういうバスツアーはありがたい。

 当日は雨の中を朝7時に出発。バスはほぼ満席だった。東名・新東名高速から中部横断道へ。雨が止み、車窓からは南アルプスの山々が鋸の刃のように見え始めて壮観である。さらに中央道・長野道と続く。2箇所で工事渋滞があって予定時刻よりも大幅に遅れる。松本市内に入った。いよいよ松本城と対面である。広い堀の水に天守が映り、見事な眺めである。多くの観光客でとても混んでいた。靴を脱いで入る所で階段の段差が大きいのに驚く。六層の天守のどの階段も角度が60度前後でしかも段の高さは一般住宅の階段の倍の40㎝前後、それも不均等になっている。甲冑を身に付けてこの階段を上下するのは大変だったろうと思う。手摺にしっかりつかまって恐る恐る階段を一段ずつ進んでいく。足元だけにとらわれていると、頭をぶつけそうな所もあって、それにも注意を要する。どの階にも係員が付いていて、上り下りする人数を制限して事故のないように気を配っていた。城の見学を終えて、昼食は味噌蔵でのランチという趣向だった。この日は冷え込んでいて、三年味噌の豚汁がとても美味しく感じた。松本の街を散策してから帰路に。帰りも工事渋滞に見舞われた。さらにトンネルの中で車列がストップ。そのうち後方からパトカーが来て、二つの車線の間を縫うように走っていく。後でトンネルを出た所に大破した二台の乗用車が向きあって止まっていた。どうしてこんな事故になったのか不思議である。結局、予定より2時間ほど遅れて静岡駅前に戻ったのは夜9時頃だった。

 バスツアーで、途中のトイレ休憩の際に買い物に夢中になって集合時刻に遅れる人や集合時刻を間違えて遅れて戻って来る人がいると大迷惑である。今回はそうした神経質が足りない人がいないのは良かった。

 

2024年10月20日 (日)

神経質礼賛 2277.痩せたサンマ

 この秋水揚げが始まったサンマが当初は豊漁とのニュースがあったが、その後はやはり不漁とのことである。ここ20年でサンマの漁獲量は10分の1以下に激減しているそうだ。温暖化による海水温の上昇・海流の変化・近隣外国船による乱獲がその原因として言われている。私が学生の頃は、サンマの蒲焼缶詰は安くて美味しい栄養源として重宝したものだが、今では希少な食材になってしまった。

   3日前の夕食で今年のサンマの塩焼を食べることができた。痩せていて、小さく、脂も少なく、ちょっと痛々しい。私は焼いたサンマの内臓は全部食べてしまう。生臭くて食べられないという人もいるけれども、塩辛のような珍味だと思う。私に釣られて最近は妻も食べるようになった。しかし「赤いビラビラがいる!」と大騒ぎして内臓だけ私にパスしてきた。橙~赤色の糸のようなものは、ラジノリンクスという名前の寄生虫である。サンマの内臓にはよく見られる。人間には寄生することはなく、無害である。しかも加熱してあれば全く安全である。ありがたくいただく。この派手な色の寄生虫よりはるかに怖いのはアニサキスである。加熱すれば大丈夫だが、刺身では危険である。アニサキス症になると、痛みに七転八倒するというし、内視鏡で除去してもらうしかないので厄介である。サンマだけでなくイワシやサバやイカの刺身で当たることがある。そのイカも日本近海のスルメイカがまるで獲れなくなっているそうである。貴重な海産物、食べる時は無駄なくいただくようにしたい。

 

2024年10月17日 (木)

神経質礼賛 2276.ハナミズキの紅葉

 朝、掛川駅から北回り循環バス(通称100円バス)に乗ると、まず掛川城方向に北に少し行った所で左折して旧東海道を西に向かって1km弱ほど走る。道路の両側には街路樹としてハナミズキが植えられている。5月頃には白~薄ピンクの花が咲く。今はバスの車窓から見ると紅葉が始まっている。鮮やかな赤色ではなく渋みのある落ち着いた赤色で、なかなか風情がある。これからの紅葉シーズンのトップバッターらしい。さらには、赤い小さな実を付けるようなので、足を止めてよく見てみるといいだろう。ハナミズキは別名アメリカヤマボウシの名にあるように、アメリカ原産である。明治末期に東京市長をしていた尾崎行雄がワシントンD.C.にサクラの木を送った返礼として大正初期に日本に贈られたのが最初である。今では街路樹としておなじみになっていて、全国に広がっている。

 さて、バスは「十九首(じゅうきゅうしゅ)」というバス停を過ぎてまた左折して市役所へと向かっていく。この地名の由来は何だろうかと以前から気になっていた。和歌の数を言う時の「首」なのか、それとも本当の「首」なのか。調べてみると平将門とその一門の首塚があることによる地名ということだ。藤原秀郷によって討伐された彼らの首級が京に届けられる途中、この地で勅使と出会い、検視ののちに埋葬されたと言われる。別の説では、井伊直政の父親の井伊直親らがこの地で掛川城主・朝比奈泰朝らに討たれ、井伊直親とその家臣たちを祀っているとも言われる。変わった地名には興味深い由来があるものである。

 

2024年10月13日 (日)

神経質礼賛 2275.付和雷同

 いつもなら土曜日の朝は通勤客が少なく列車は空いているのであるが、昨日は大きなキャリーバッグを引っ張って歩く旅行客が目立った。秋の行楽シーズン到来だ。下り電車だから行先は京都、大阪USJあたりだろうか。短い貴重な秋である。お金をかけずとも近場の低山に登って自然と触れ合うのもよいだろう。

 森田診療所で月1回行われていた形外会は、ハイキングに出かけることもあった。昭和7年10月、形外会多摩御陵・高尾山ピクニックの水谷啓二さんによる記録がある。

 森田先生は前夜の喘息発作でお疲れのため、山上の茶屋に横になって休む。後のメンバーは山頂まで登る。
 山上に売っている房なりのアケビの色が美しい。買えば、我も我もと、買って背中にブラ下げて行く。茶屋に返ったら、先生はすっかり元気になって、本を読んでおられた。皆の買って来たアケビを見られて、「小さい蔓に、随分沢山なるものだ」と感心なさる。「しかし、みんなが、沢山に買って、そんなに、おいしいだろうか」と問われる。誰かが「見た事がなくて珍しいから買った」という。「見た事がなくて、珍しいものは、このアケビばかりではない。この山の杉の一枝も、苔の種類などもみな珍しい。アケビを買ったのは、一人が買うと、それに付和雷同して、我も我もと買ったのであろう。僕などは決して訳もなく、他人に雷同するという事はない。あるいは味がよいとか、花瓶にさすとか、明らかな目的がなければ買わない」とか批評せられた。 (白揚社:森田正馬全集 第5巻 p.277)

 神経質は概して物事に慎重であり、皆がやっているから付和雷同にそうする、ということは少ない。しかし、集団の中にいると群集心理に乗ってしまわないとも限らないから注意が必要である。神経質を忘れてはいけない。

 

2024年10月10日 (木)

神経質礼賛 2274.秋バテ

 急に朝晩涼しくなり、エアコンの冷房なしで眠れるようになってきた。慌てて掛け布団を引っ張り出す。汗もかかなくなって楽になってきたと思いきや、心身の不調を訴える人が多くなっている。外来患者さんたちからも「何だか体がだるい」「胃腸の調子がよくない」「ふらふらする」「朝がスッキリしない」などという話をよく聞く。夏バテならぬ秋バテ、はて、そんな言葉があるのだろうかと思ったら、巷ではすでに使われているようである。

 元々精神科では春先・秋口に調子を崩す人が多い。特にうつ病などの気分障害の人ではその傾向が強い。それに加えて、年々長く厳しくなった猛暑の影響は大きいだろう。もはや1年の半分近くは夏という状況になっている。やっと涼しくなってこれまで暑さのために休んでいた散歩やジョギング、庭の手入れ、部屋の片づけなどを再開しようとしても体力が落ちていて急には思ったように動けない。そろそろ体を冷やす食品から、タンパク質を十分に含んだ食品に切り替えていく必要がある。冷たい飲み物も店じまいにしよう。夏場はシャワーで済ませていた入浴もぬるめの湯加減でゆったり湯舟に浸かって体を少し温めた方がよいだろう。心身が秋の気候に順応するのにはやはり時間がかかる。まずは栄養をつけることから始めて体力回復を図り、焦らないことである。しっかり眠らなければいけないと考えて、寝よう寝ようとすればますます眠れないことが不安になって眠れなくなる。夜は横になって体を休めればいいのだ、と考えておけば、いつしか眠りに落ちている。

 

2024年10月 6日 (日)

神経質礼賛 2273.金子みすゞの詩(うた)

 藤枝市郷土博物館・文芸館で「100年の時を超えて 金子みすゞの詩」と題する特別展が開催されているのを知り、見に行ってきた。金子みすゞ(1903-1930)は西條八十に激賞された幻の童謡詩人とされる。みすゞの夫は女癖が悪く、淋病にかかり、それがみすゞに伝染してみすゞを苦しめることになる。夫は嫉妬心からかみすゞが作品を書いたり文学関係者と手紙のやり取りをしたりすることも禁止した。ついに離婚することになったが、夫が一人娘の親権を主張し、絶望したみすゞは娘が寝静まった後に服薬自殺を遂げてしまう。没後、忘れ去られていたが現在記念館の館長をしている童謡詩人の矢崎節夫さんが長い年月をかけてみすゞの足跡を辿り、みすゞの弟・上山雅輔さんから多くの情報と遺稿を得て、金子みすゞ全集の出版に漕ぎつけた。代表作の「私と小鳥と鈴と」は現在では小学校の国語教科書にも採用されているそうだ。「みんなちがって、みんないい」と多様性を認める考え方は軍国日本に突き進んでいく当時は許されないものだったろう。

 会場に入ってすぐの所に、全集の基となった3冊の小さな手帳がガラスケースの中に展示されていた。会場には手帳から撮影した拡大写真パネルで直筆の詩が展示され、さらにその詩に絵本作家が描いた絵、人形、ジオラマ、小物などが一緒に展示されていた。東日本大震災の時、CM自粛によりACジャパンの公共広告が繰り返し放送された中にみすゞ作品「こだまでしょうか」があったのを思い出す。子供だけでなく大人にも味わってほしい詩である。この心があれば、つまらない争いはなくなり仲直りできる。やはり代表作「大漁」では海岸でお祭り騒ぎの人々と対照的に海の中では何万ものイワシたちの弔いが行われると書き、弱い立場に向けた優しい眼差しが感じられる。自分ばかりに目を向けやすい神経質にとってハッとさせられる詩である。どの詩も曲を付けて歌われることを意識して作られたわけではないと思うが、概ね七五調になっていて曲を付けやすい。今後も新たな曲が作られる可能性を秘めている。

2024年10月 3日 (木)

神経質礼賛 2272.10月になって

 10月になってさすがに朝は涼しくなってきた。それでも日中は30℃超えが続いていて、とても秋とは思えない。今月から郵便料金が値上げ、当地のバス運賃も値上げ、数々の食品の値上げが発表され、値上げの秋だけは着実に来ているようだ。

 身近なところで今月から変わったものとして、勤務先病院の給食業者がある。これまで担当していた地場の業者が撤退して、全国規模の業者になった。病院側との値上げ交渉が決裂したというような話も耳にする。先月末には旧業者から引継ぎをしていた。今までならば私が病院に着く朝7時頃には配膳車が病棟に入っていったのが、まだ慣れないためか15分~20分位遅くなっている。朝食時は病棟スタッフが大忙しになるので、スタッフは病棟入口でドアを開けてまだかまだかと待ちわびているし、入院患者さんたちも食事が「お預け」になってしまっている。昨日の職員食は「ちゃんぽんめん」だった。うどんやラーメンの時は、1食分ずつ袋に入ったゆで麺を取り出し湯通しして自分で丼に入れるようになっているが、麺がカチコチに固まった冷凍のままで供されていて唖然とした。それも5人分ずつまとめてビニール袋に入ったままである。取り出して電子レンジにかけても解凍に2~3分はかかるだろうし、湯通しした程度では解凍できない。限られた時間で食べなければならない職員たちにとっては困ったことである。新しい業者のメンバーたちも慣れてくればミスも減りスムーズに動けるようになるのだろうが、給食は病院では患者さんと関係が最も深い部分だ。四方八方に気を配りながら短時間できびきびと作業しておいしい食事を出して欲しいものである。

 

2024年10月 1日 (火)

神経質礼賛 2271.ガンツ・クライネ・ナハトムジーク ハ長調 K.648

 つい10日ほど前、モーツァルトの新しい楽譜がライプツィヒ市立図書館で発見されたというニュースがあった。その名もガンツ・クライネ・ナハトムジーク、非常に小さな夜の音楽ということである。一昨日のNHK―FMのクラシック番組でもその話題が出て、リスナーからリクエストがあったけれども、まだ放送できる音源がないので、ネット動画を見て下さい、とのことだった。もう動画が出ているのかと驚いた。この曲はヴァイオリン2・チェロ1の三重奏で短い6楽章から成る。
1. 行進曲
2. アレグロ
3. メヌエット~トリオ
4. ポロネーズ
5. アダージョ
6. メヌエット~トリオ
という構成である。K.648 という作品番号も付けられている。

 2種類の動画を見ることができた。一つは野外音楽堂のような所での演奏。もう一つはホールでの演奏でフォルテピアノを加えていた。どちらも演奏者たちは楽しそうに伸び伸びと弾いていた。モーツァルトの魔法にかかったようだ。夜に恋人の家の前で弾いて窓を開けてもらおうという曲にふさわしい。第5楽章のアダージョではヴァイオリンはミュート(弱音器)を付けての演奏で、モーツァルトの曲では珍しい。楽譜の発売が待ち遠しい。ヴァイオリン・ピアノ版の編曲もできそうであり、楽しみだ。

 

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