神経質礼賛 2279.危うきに近寄らず
このところ複数犯による強盗殺人事件が多発している。実行犯たちはSNSで「ホワイト案件」「資格不要」「運ぶだけの仕事」「1回で5万円(10万円)」などという誘い文句に釣られて応募した若者たちである。いきなり現場に連れて行かれ犯行を強要される。雇い主は不明であり、自分の個人情報は完全に知られているから従わざるを得ない状況になっている。被害者は銀行の暗証番号を言うまで暴行を受けて挙句の果てに殺されて大変気の毒であるが、軽いアルバイトのつもりで犯罪に手を染めてしまった若者たちも一生罪を背負って生きていかなければならなくなる。殺人や強盗傷害に至る点ではオレオレ詐欺よりもさらに悪質度が高い。
世の中、そんなに簡単に高額報酬が得られる仕事があろうはずはない。学生アルバイトでも汗水たらして働いてもせいぜい1日1万円がいいところだ。本当だったら誰もがやっているはずである。これはおかしい、犯罪がらみの「仕事」だと考えるのが普通だろう。「運ぶだけ」で運ぶものは何だろうか、麻薬・覚醒剤などの違法薬物、銃器、もしかしたら殺された人の遺体ではないかと疑いたくなるところである。女性だったら売春を強要されたりアダルトビデオに出演させられたりするのではないかと心配するところだ。まさに「君子危うきに近寄らず」である。
その点、神経質人間は心配性だから、最初から疑ってかかる。仮に誘い文句に惹きつけられたとしても、どうしようかと迷っているうちに時間がどんどん経っていき、実行に移さないことの方が多いので騙されにくい。だからといって油断は禁物である。オレオレ詐欺のように犯罪者たちは言葉巧みに罠にはめようと念入りに計算して近づいてくる。もしかして自分も騙されるかも知れないと普段から用心するに越したことはない。
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