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2024年11月17日 (日)

神経質礼賛 2287.頭痛・頭重感

   森田正馬先生による神経症分類のうちの一つ・普通神経質には 不眠、頭痛・頭重感、疲労感、胃腸障害、めまい、耳鳴、書痙などの症状がある。いずれの症状もいろいろ検査をしても異常は認めらない。ここでめまいと書いたが正しくは「めまい感」であり、本人はめまいを訴えるが、客観的には眼振はみられない。現代でも頭痛を訴えて市販の頭痛薬を飲んだり、医療機関でロキソプロフェンなどの鎮痛剤を処方してもらったりしている人は少なくない。

 頭痛・頭重感が続き、森田先生の診療所に入院して森田療法を受けた18歳の日記を紹介しよう。絶対臥褥を終えて5日目の日記には次のように書かれている。
朝山本さんと炭切りをして居る処へ、先生が来られて、こんなお話があつた。「炭切りは手の真黒になる、いやな仕事である。いやな事であるから、きたなくならないやうに、早く片付けてしまひたい。之が純な心である。此心から出発する時に、初めて色々の工夫が生れる。そこに進歩がある。之に反して此場合、自分は修養のため、治療のためだから、少々いやでも我慢しなければならないと思ふのは悪賢い小理屈であつて、これが所謂悪智である。炭切りの目的は、炭が最も有効に焚けるやうにするのであつて、修養のために稽古材料にするのではない。修養のためならば工夫はいらない。だから仕事が単に時間つぶし、遊び事になつてしまひ、何時迄も進歩はないのである」 (白揚社:森田正馬全集 第4巻 p.228)

   このように作業中に随時先生の指導を受けて作業の工夫をしているうちに7日目の日記には、「此頃は頭痛がしなくなつた」と記載している。いつも症状のことばかり考えて自分の身体の方にばかり注意が向いてますます感覚が鋭敏になりさらに症状を強めてしまうという悪循環から抜け出し、ふと気が付けば症状は気にならなくなっている、森田療法ではそういう治り方をするのである。

 

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