神経質礼賛 2340.ぺイハラ
今月、女優のH末さんが交通事故を起こして搬送された病院で看護師さんを蹴ったり引っ搔いたりして逮捕された事件が話題になった。結局、示談が成立して釈放されたという。以来、医療関係サイトではペイシェント・ハラスメントを略したペイハラという言葉が頻用されるようになった。カスハラ(カスタマー・ハラスメント・・・客が店や店員さんに対して暴言・暴力をふるったり理不尽な要求をしたりすること)の医療版とでも言えようか。
精神科で仕事をしていると、日常茶飯事の出来事ですっかり慣れっこになってしまっている。特に精神科救急の当直をしていると、警察や保健所が連れて来た患者さんが時に外来で大暴れして冷や汗ものだったし、蹴られたり叩かれたり「このハゲ爺!」「早く死ね!」などと罵声を浴びることもあった。外来診察室で突然患者さんに顔を殴られて眼鏡が壊れた経験もある。病院側でも患者さんの暴力への対応訓練はよく行っていた。一人二人で対応しないで、なるべく人を集めて対応し、冷静に相手の話を聞く、というのが原則であって、火に油を注ぐことのないようしなくてはいけない。しかし実際のところ夜間は男性職員を集めるのが困難であり難しいものがあった。
認知症専門病棟では、患者さんの介助業務が多い看護職員がオムツ交換の際に叩かれたり手をつねられたりしやすい。また、男性認知症高齢者による女性職員へのセクハラもよくある。本人には自覚がないだけに対応が難しい。そうなると、薬で何とかしなくては、ということになるけれども、精神科薬を増やすと今度は転倒・骨折のリスクが高くなるので、いい塩梅の処方を心がける必要がある。そのためには普段から患者さんを良く観察し、看護スタッフからの情報を集めることが肝要である。
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