神経質礼賛 2350.水無月(2)
いつも日帰り京都旅行の締めくくりは駅の伊勢丹での買物である。私の母が健在だった頃にはヨモギあるいは粟の生麩をおみやげに買っていたものだ。今では帰りの新幹線の中で食べる夕食の調達が主な目的となっている。妻は漬物と和菓子を買っている。いつもこれに時間がかかる。今回は寺社拝観が早く終わって、京都駅に戻って2時間以上時間があった。土曜日ということもあってか地下1階・地下2階はとても混んでいる。妻が和菓子をよく買う仙太郎という店は長い行列ができている。順番が来てから品定めをして注文する人もいるようで、行列はなかなか前に進まない。その間、私は階段横のスペースで待つことになる。秋から冬だとわらび餅と最中を買うことが多い。今回買ったものは黒豆大福と初夏らしく水無月(1391話)だった。いずれも賞味期限は当日限り。とは言っても実際には夫婦二人だけではすぐに食べきれないので2~3日かけて食べることになる。
水無月は旧暦6月。水有月ではないか、とツッコミを入れたくなる。由来は田に水を引く「水の月」と言われる(諸説あり)。和菓子の水無月は京都発祥である。白い外郎(ういろう)の上に甘く煮たあずきを載せて三角形に切ったものだ。白い外郎は氷室から出した氷で暑気払い、小豆には厄除けの意味があるそうだ。京都では6月30日の夏越しの祓の日に食べて残り半年の無病息災を祈念する風習があるという。今では白い外郎だけでなく、黒糖外郎や抹茶外郎を用いたものもある。邪気を払うという意味からすると同じ緑色でも抹茶でなくヨモギ外郎が使われても良さそうなものだが、なぜか見当たらない。国産素材にこだわって種々の生外郎を販売している伊勢の虎屋ういろホームページによれば、国産ヨモギの調達が非常に困難になり、昨年から定番商品から季節限定商品に変更したとのことである。そんな事情も関係しているのだろうか。
最近のコメント