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2025年5月11日 (日)

神経質礼賛 2344.そういえば症状

 勤務先が変更になったため、精神保健指定医証に記載された勤務先の変更手続が必要である。保健所まで徒歩15分。担当窓口に手続書類を提出して、指定医証の勤務先名を訂正してもらう。それをスキャンして記録に残しているようである。ものの3分で完了。郵送よりも手っ取り早い。さて、その精神科クリニックの仕事は、今まで休診日だった曜日に担当で入ったため、最初は1日5人位しか患者さんが来ず、閑古鳥が鳴いていた。しかし、新患の方が次々入り、空いていて待ち時間が少なそうだと他の曜日から移って来る人もいて、1カ月を過ぎて20人、30人と増えてきた。おそらく50~60人に達しそうな勢いである。

 今まで他の先生が診ておられた年配の男性。長いこと同じ睡眠薬だけが処方されている。まだ仕事は続けておられ、5~6時間は眠れている。「そういえば、元々人前で緊張して困るんですが何とかならないものでしょうか」と言われる。医師が代わったので、久しぶりに言ってみたらしい。カルテを前の方へどんどんめくっていると対人恐怖症状の記載が確かにあった。当初は抗不安薬や動悸を抑えるβブロッカーが対症的に処方されていたが、もう長いこと睡眠薬だけになっていた。「そうですか。それでは私と同じですねえ。緊張しても何とか生活が回っているのであれば、それでいいのではないでしょうか」と答えると、「まあ、そうですねえ」と。本人は気になるけれども他の人からすれば何でもないように見えるのが神経症の対人恐怖である。誰しも人前では緊張するものであり、自然なことだ。気になりながらも避けずに行動していけばそれで良いのだ。そういえば、と「症状」を掘り返す必要はなく、そのまま埋もれたままにしておけば良い。森田正馬先生は、次のように言っておられる。

 病氣を治さうとする事を忘れた時に、病氣がなくなって居るのである。(白揚社:森田正馬全集 第4巻 p.264)

 心機一転とは、平生・内向性の心が、次第に変化して、或機会に一転して外向的となる事である。其手段としては、第一に自分の病状を言はない事、書かない事で、第二には仕事に乗りきる事の二つである。(白揚社:森田正馬全集 第4巻 p.329)

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