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2025年6月19日 (木)

神経質礼賛 2357.「グレる」の意外な語源

 何かの時にふと気になることがあって、後で調べようと思っているうち忘れてそのままになることが多い。その一つが「グレる」の語源である。ニュースでスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんが話題になると、思い出すけれども、そのままになってしまう。先日、グレタさんが乗っていた船がイスラエルに拿捕されたというニュースがあって、また思い出した。

 グレる、とは不良になる、という意味だ。語源は意外にも優雅なところにあった。平安時代末期、貴族の遊び「貝覆い」、神経衰弱のような遊びである。ハマグリの殻の内側に美しい絵が描かれている場合もあった。ハマグリの殻を選んで合わせてみて合えば獲得でき、たくさん獲得した者が勝ちというわけである。のちに、ピッタリ合わないことを「ハマ」と「グリ」を逆にして「グリハマ」と呼んだのが「グレハマ」と転じ、それが動詞化して「グレる」になったということだ。ズレる、正しい道から外れるという意味で使われるようになって今日に至っている。ちなみに繁華街を徘徊する不良仲間のことを愚連隊と呼ぶが、これも「グレる」の派生語で漢字は当て字だと言われている。

 前述のグレタさんは自閉症スペクトラム障害、強迫性障害と診断されたことを公表している。最初はその診断に縛られていたが、病気とは見ず、「スーパーパワー」と呼ぶようになったそうである。自分の特性を認識してそれを最大限活用しているようにも思える。

 神経質も同様である。自分は神経質・小心者で情けない、と思っている方もいらっしゃるかもしれないけれども、森田正馬先生が神経質を礼賛されたように本来は優れた特性なのであり、これまた「スーパーパワー」に他ならない。宝の持ち腐れにしていてはもったいない。「神経質は病氣でなくて、こんな仕合せな事はありません」(白揚社:森田正馬全集 第4巻 p.386)の通りであって、「病気」探し・「病気」作りにそのパワーを無駄遣いせず、周囲に気を配って行動して、神経質を大いに活用していただきたいと思う。

 

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コメント

とても勇気づけられるお話。ありがとうございます!

いっこう 様

 コメントいただきありがとうございます。

 私が師事した大原健士郎教授は、森田療法を
受けている患者さんたちに、「神経質で悪いことは
何一つないんだよ」「神経質は出世の性格だよ」
と力説しておられました。近頃、そういう発言をす
る森田療法家がいなくなってしまったのは残念で
す。

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