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2025年8月10日 (日)

神経質礼賛 2374.0戦(ゼロせん)

 私は小学生の時、「0戦はやと」というTVアニメを見ていた。辻なおき原作で少年キングに連載されたものだ。零式艦上戦闘機・0戦のプラモデルも作った記憶がある。同じ頃、ちばてつやの「紫電改のタカ」という漫画が少年マガジンに連載されていて、これも時々読んでいた。当時、PTAなどから戦争賛美でけしからんという批判があったが、必ずしもそうではない。死と隣り合わせの戦場という極限状態の中での友情やライバルとの争いが描かれていた。

   母が亡くなって2年経つ。転倒・骨折を繰り返して歩けなくなり、2年余り老人施設のお世話になった。定番の「茶道雑誌」、時々それ以外に頼まれた本は書店で買って届けていた。新型コロナの流行で面会制限のため手渡しできなくなって郵送していた。ある時、施設から電話があって「お母さんが0戦の本を買いたいと言っているんですが、いいでしょうか」と。「どうぞ買ってください」と返事した。父や母の兄弟で直接戦地へ行った人はいないし戦闘機に興味があるとは思えない。不思議だなと思った。施設の荷物を引き上げて来た中に百田尚樹(ひゃくたなおき)著『永遠の0』という文庫本があった。読んだ形跡はなくきれいなままだ。捨てるつもりだったが、著者は先日の参議院選挙で日本保守党から立候補して当選した人物だし、どんな本かちょっと見てみようと読み始めたらすっかり取りつかれて、4日間で読み切ってしまった。

 主人公の健太郎は、弱い立場の人たちを支える弁護士をしている祖父にあこがれて司法試験浪人中の青年である。しかし、本当の祖父は終戦直前に特攻で戦死したパイロット宮部久蔵だと知る。フリーライターをしている姉に頼まれて宮部を知る人たちに面会して宮部に関する話を聞き出していく。宮部は腕利きのパイロットだが、腰が低く、後輩や整備兵らに対して優しかった。囲碁はプロ級の腕前だった。しかし、その評価はまちまちで、臆病者とも思われていた。妻子の写真を常に身に着け「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」と言い続ける。上官からの特攻指示に逆らい、後輩パイロットたちにも「死ぬな」と言い続ける。それなのにどうして特攻死したのか。最後に義理の祖父は宮部との不思議な縁について語る。そして、宮部の壮絶な最期の描写がある。実に読み応えのある小説だった。

 

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