神経質礼賛 2392.コイルトレイン
いつもピアノ伴奏してくれている友人から変わったLINE連絡が入った。銅線が絡んでしまったとのことで写真付きである。銅線の束が絡んでしまっている。何に使うのかと尋ねるとコイルトレインを作ろうとしているとのこと。友人の本職は高校の物理教師なので、教材にしようということらしい。
はて、コイルトレインって何なんだろうかとネット検索してみると、実際の製作例の動画がいくつも公開されていた。単3か単4の乾電池の両電極に強力なネオジム磁石を取り付け、コイル状に巻いた銅線あるいは錫メッキ線の中に入れると勢いよく進んでいく。コイルの両端をリング状に繋げてその中をぐるぐる回る動画もあった。これはフレミングの法則の応用である。中学校の理科でフレミング左手の法則・右手の法則を学ばれたと思う。左手の法則は左手の親指・人差し指・中指がそれぞれ直角になるようにすると、人差し指方向に磁界があり中指方向に電流が流れた時には親指方向に磁力が発生する、というものだ。理科のテストの際、左手を出して問題を解いた記憶もおありではなかろうか。乾電池の電極からコイルに電流が流れると磁力で電池があたかも列車のように進んで行くのだ。リニアモーターカーの実験である。
翌日、またLINE連絡が入り、今度は5秒間の動画付き。コイルの中を走り抜ける乾電池の様子が映っている。生徒たちの歓声も聞こえる。大成功だね、と返すと、「生徒がやると成功、自分がやると失敗。いつもそうです」と。
この実験に使う材料は百円ショップやホームセンターで買い集めれば千円から二千円位である。コイルを巻くのに1~2時間ほどかかるかららしい。下手をすると銅線がよじれたり絡まったりするから神経質を要する。しかし、実際に電池が勢いよく動く様子を見たら強烈に頭に焼き付いて、生きた勉強になることだろう。物理学というと数式ばかりで敬遠する人も多いだろうが、こういう工夫があると勉強のモチベーションが上がりそうだ。
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