神経質礼賛 2439.強迫を活かす
当ブログでは何度か強迫的な傾向のある歴史上の人物を紹介したことがある。比較的初期の記事で作曲家のブルックナー(401話)、マーラー(402話)、ストラヴィンスキー(403話)、その後、不潔恐怖だった作家の泉鏡花(628話)、やはり不潔恐怖のあった文豪で軍医としても成功した森鷗外(1521話)、さらには貴重な歴史資料でもある『小右記』を遺した平安朝の貴族・藤原実資(2251話)について書いた。これらの人々は強迫の完全欲を仕事に生かして大きな業績を遺すことができたと考えられる。
医療関係の仕事では、ミスは人命にかかわるだけに、少々強迫的であった方がよい。私の知っている薬剤師さんにはそうした人が多い。調剤薬局からは、疑義照会といって、薬同士の相互作用をチェックしたり、患者さんの年齢や腎機能を考慮したりして、その処方で本当にいいのか、という問い合わせのFAXが入ることもあるし、患者さんがきっちり服薬しているか聞き出して残薬数を確認して残っている分の処方を削るように求められることもある。そのようなチェックの積み重ねが医療事故防止に役立つ。
強迫を活かすためには、今風の言葉で言うとタイパ(タイムパフォーマンス:費やした時間に対する効果)に配慮する必要がある。そして、あくまでも優先度の高いことから処理していくことである。それができれば強迫は大いに結構である。拙著『ソフト森田療法』では、確認したくてたまらない時、不潔が気になる時、悪いことが起きそうで心配な時、といった場面を取り上げてその対処法を述べている。種々の不安はBGMのようにそのまま流しておいて、目先のやらなくてはならないことをやっているうちに、いつしか気にならなくなっている。集中できないことを苦にする人は多いが、それは仕方のないものとして集中できないままに手足を動かしていれば、思いのほかはかどっているものである。
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