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2026年6月28日 (日)

神経質礼賛 2480.漸進でよい

 外来通院中の患者さんで森田療法的アプローチが役に立ちそうな方には拙著『ソフト森田療法』を、さらにコアな神経質で読書好きな方には『神経質礼賛』を進呈している。強迫症状が重度で日常生活に大きな支障をきたしている人がいる。不潔恐怖のため入浴に時間がかかり過ぎ、結局月に一度になってしまっている。外出も思うにまかせず、家族が家事や買物などを代わりにしている。前の主治医の時代から抗うつ薬、抗不安薬が多剤処方され続けているがあまり効果がみられていない。一般的に言って、強迫症状を薬だけで解決するのは困難である。他のタイプの神経症に比べると強迫は「悪い癖」という色彩が強く、自分で我慢して普通の人と同じように行動しようとしないことには改善が難しい(978・1208・2438・2439話)。この人にも『ソフト森田療法』を差し上げて、あなたに役立つ話が書いてありますよ、と告げた。

   それから3か月経って、「自分にピッタリ当てはまります。本に書いてある通りだと思いました」と礼を言われた。本には数多くの付箋紙が張ってあり、細かい字でいろいろな書き込みがされていた。理屈はわかってもなかなか行動に移せないのが強迫の人である。わかっちゃいるけどやめられない、である。「少しずつだけど家のことをやるようにしています」とも言われる。そう、苦しくても少しでも健康人らしく行動していくのが森田式である。一気に前進できなくていい。三歩進んで二歩下がるでもいい。それを繰り返せば少しずつ進んで行く。漸進でいいのだ。年月はかかってもそれを続けて行けば、いつしかその積み重ねが成果として現れてくる。見える景色も少しずつ変わってくるのだ。

2026年6月25日 (木)

神経質礼賛 2479.つい買ってしまう物

 このところNHKの「3か月でマスターする西洋美術」という番組があって、毎月そのテキストを買いに行っていた。街中の書店が閉店する中、商業施設内にある大型書店は健在だが、今までの広い雑誌売場がなくなり、何もない空間になった。そのスペースに何か別の店舗が入るのだろうか。雑誌売場はレジ近くに移転し、従来の半分以下のスペースに。

 近年は廃刊となる雑誌も多い。それでも、雑誌売場を見て歩くのは楽しい。歴史系の雑誌を眺めて気に入ったものはたまに買う。年に1回つい買ってしまうのが付録雑誌である。雑誌というより付録がメインで、バッグやちょっとした小物に雑誌がおまけに付いているというものだ。特にメッセンジャーバッグはデザインが気に入ったり機能が優れたりしていると千円から二千円程度なので気安くついつい買ってしまう。今回買ったのもA4書類やパソコンが収納でき水に強いという殺し文句にやられてしまった。以前買って気に入ったメッセンジャーバッグで半年と経たずファスナーが壊れて使えなくなったものがあった。肩ベルトの強度が弱くてすぐにダメになったものもあった。3年ほど前に買った小さなバッグは現在もサブバッグとして利用している。ここ2年ほどの間に買ったのは使う機会がなくそのままになっている。これではいけない。使いそうもないバッグを3つ捨てることにして、ついでに病院勤務時代に当直の日に使っていたバッグやデパートで御中元・御歳暮の景品にもらったトートバッグや保冷バッグなどもまとめて捨てることにした。そのうち使うだろうと放置しているとどんどん溜ってしまう。スペースが無駄になってもったいないことになる。足し算だけでなく引き算も忘れずにやっておく必要がある。

2026年6月21日 (日)

神経質礼賛 2478.便利?不便?ワイアレスイアホン

 道を行く人も電車で見かける人も今ではワイアレスイアホンを耳に付けている。コード付きの従来のイアホンを使っている人は少なくなった。自転車に乗っている人たちもそうだったが、今年の道路交通法改正で自転車でも交通違反の青切符が出るようになって、「ながら運転」が処罰対象となったためか若干減っているような印象がある。オープンエア型イアホンならば大丈夫だという説もあるが、警官が声掛けをした時に反応できないと違反扱いになるらしい。

 イアホンのコードがなくなる利便性はとても大きい。機器の近くでは自由に移動できてコードに束縛されることがなくなる。コードが体にまとわりつく鬱陶しさもないし、コードが絡まってそれをほどく手間もいらない。便利な反面、落としやすく、駅ではホームから線路上に転がり落ちるようなトラブルもあるという。また、無線接続が切れることがあり、切れなくてもタイムラグが発生して画像より音が遅れるのが気になることもありそうだ。

 私は今までワイアレスイアホンを使ったことがなかった。先月、妻が総合病院に入院することになり、「スマホに使えるイアホンが欲しい」と言われた。私のスマホは従来の3.5mmミニジャックが付いていない機種なので、てっきり妻のもないだろうと思って慌ててワイアレスイアホンを買ってみた。しかし、充電の手間が必要な上、操作も慣れないと難しい。電源のON・OFFとか音量を上げたり下げたりなどの操作は特定の場所を〇回タップするとか長めにタップするとか覚えなければ使えない。便利なのか不便なのかわからない。実は妻のスマホにはミニジャックが付いていたので、従来型イアホンが使えたのだった。結局、ワイアレスイアホンは不評でお蔵入りになってしまったのである。

2026年6月18日 (木)

神経質礼賛 2477.シジミ占い

 普段の朝食は6枚切り食パン1枚をトーストしてアヲハタのジャムを塗ったもの、ベビーチーズ(アーモンド)、ミニトマト、ミルクコーヒー(もちろんインスタント)と決まっている。仕事がない日はちょっと変化球でチーズの代わりにマルコメのインスタントの減塩しじみ汁(1952話)を飲む日もある。特にしじみに多く含まれるアミノ酸のオルニチンの効果を期待しているわけではなく、単純にしじみの味が好きだからである。オルニチンは肝臓に良いとされ、サプリが売られているが、効果はどれほどか疑問である。パンに味噌汁はミスマッチと思われるかもしれないが、私は全く違和感がない。このマルコメの商品の具はしじみ粒とワカメであるが、固形分が多い時と少ない時の差が激しい。1つのパッケージに8食分入っていて、固形分が少ない時は同じパッケージ内の他のものも少ないことが多い。やはりしじみ粒が入っていないとちょっとがっかりである。そうかと思えば10粒くらい入っていることもある。いつしか「しじみ汁占い」をやっていた。しじみが全く入っていなければ大凶、1粒だと凶、2粒は末吉、3粒は小吉、4粒は吉、5粒以上は大吉といった具合である。

 私を含めて強迫傾向のある神経質人間は縁起の良し悪しに敏感でこだわりやすい。あくまでもいい時は単純に喜び、悪い時は受け流すというスタンスがよい。

 

2026年6月16日 (火)

神経質礼賛 2476.アサダ

 自宅から母親が住んでいた家までは500mほど。途中に公園と県の施設のもくせい会館と医師会館がある。もくせい会館は名前の通り周囲の道路沿いに金木犀とツツジが植えられている。この時期、咲いている花はないが、ちょうど梅雨の中休み状態で、それほど暑くもなく、歩いていて気持ちが良い。ふと上を見上げるとビールの原料のホップを大きくしたような実をいくつもぶら下げている木に気が付いた。何の木だろうと気になる。木の名前を書いたプレートは付けられていない。スマホで写真を撮り、Google検索にかけてみる。アサダの可能性が高いとのこと。聞いたことのない名前である。

 アサダはカバノキの仲間の落葉高木で高さは10~25mに及ぶ。樹皮は剥がれて反り返り、ミノムシ状になるのが特徴である。4月~5月に開花して実を付け、果実は10月頃に熟して種が飛び出す。浅田という漢字があてられるが、語源は不明とされる。木の材質は堅くて緻密であり、磨くと美しい光沢が出ることから、櫛などの小物や家具の材料として用いられるという。

 今まで全く気にも留めなかった木であるが、これからは時々観察して変化を見て行こうと思う。自宅近くの何の変哲もない景色の中でもちょっと変わったものが見つかることもある。クリニックを受診している患者さんたちから「何もすることがない」「つまらないから家でゴロゴロしている」という話をよく聞くが、出かけてみれば意外な見どころもあって、興味を引くことも見つかるものである。

2026年6月14日 (日)

神経質礼賛 2475.火災警報器の電池切れ

 母親が住んでいた小さな家は今でも電気、ガス、水道が使える状態にしていて、週1~2回メンテナンス目的で訪れている。今回行ってみると「ピ・・・ピ・・・」という音が聞こえていた。はて、どこから音が出ているのか。1階のDKや洗面所や風呂場を見て回ったが音源らしきものは見当たらない。二部屋ある2階に上がる。どちらの部屋に行っても他の部屋から聞こえてくる感じがする。部屋の間から上を見上げて原因がわかった。火災警報器の赤ランプが点滅し、音を発していたのだ。時々「電池切れです」というアナウンスも発している。

   平成22年から寝室と寝室のある階の階段上部に火災警報器の設置が義務付けられ、全然意識していなかったが、この家も3カ所に火災警報器が取り付けられていたのだ。リチウム電池の寿命は10年とされている。家ができて12年近くになるから、電池切れになるのも無理はない。そのままにしておくと、隣家に迷惑を掛けそうなので、カバーを外してコネクターで接続されている電池を外す。万一火災発生時には他の2個のどちらかが作動するだろう。取り出した電池は家に持ち帰って、同じ型のリチウム電池を3個注文した。まだ動いている他の2個も近いうちに電池切れになるだろうから一緒に交換しておこう。同じメーカーの火災警報器でも異なるリチウム電池を使っている機種があって注意が必要だ。注文の際には品番をよく確認する。家庭用火災警報器が設置されるようになってから、住宅火災による死者は減少しているという。就寝中に火災が発生して逃げ遅れるのを防ぐ効果がある。電池切れを放置するのはよろしくない。さらに信頼度という点を考えると警報機全体を新品に交換するのがベストだろう。

2026年6月11日 (木)

神経質礼賛 2474.そのうち時間ができたら

 先週は台風6号の影響でいつも通勤に利用している静岡鉄道電車も東海道線(在来線)も運休になってしまった。そうなることは十分予想できたので、あらかじめその日の産婦人科クリニックの勤務は休みにしてもらっていた。さて、丸一日空いてしまった日をどう使うか。午後には風雨が収まりそうだけれども、出歩くのは避けた方が安全である。こういう時こそ「そのうち時間ができたら」と先送りしていたことを片付けようと思い立った。精神科専門医の更新は来年度なので、まだいいかと何となく面倒に思って先送りしていた全専門医共通必修科目のeラーニング講習を受けることにした。とりあえず午前中に感染対策の講習を受けた。そうなると、続きもやってみようということになる。午後には医療倫理の講習を受ける。まさに「神経質は重い車」の通り取りかかるまでモタモタして時間がかかるが動き出したら止まらなくなる。その二日後には残った医療安全の講習を受けて3科目全部片付いた。やってしまえば何でもないことだった。

 森田正馬先生は形外会の場で次のように述べておられる。
 腰が軽いという事は、思い立った事に、早く気軽く手を出して実行する事であって、これは何事にも功利的で、一つ一つの事に労力と時間の見積もりを立て、損得を打算し、骨惜しみをして、物事をおっくうに思うという事のない時にできる事である。つまる所は捨身の態度という事に帰着する。(白揚社:森田正馬全集 第5巻 p.743)

 かかる手間を思い浮かべて、嫌だなあ・面倒だなあ、と先送りするのは神経質人間にはありがちのことである。しかし、気が向かないままにちょっと手を付けてみればそれが呼び水となって前に進んでいくものである。

2026年6月 7日 (日)

神経質礼賛 2473.シャワーとカビ

 6月になり、西日本まで梅雨入りし、湿度が高い日が多くなってきた。TVの生活番組ではカビ防止を話題にしたものがある。特に浴室ではカビが発生しやすい。蒸し暑くなって風呂に浸からずにシャワーで済ませる方も多いかと思う。シャワーだけなら大丈夫だろうと油断して風呂掃除を怠っているとカビが発生してしまう。一旦赤カビや黒カビが付いてしまうと落とすのはなかなか大変である(1045話)。

 立ってシャワーを浴びるのと座って浴びるのとではどちらがカビが発生しやすいだろうか。若い世代では立ってシャワーを浴びる人が多いらしい。しかし、立って浴びていると意外と壁の高い部分まで皮脂や石鹸成分が飛散して、それがカビの栄養になってしまうのだそうである。そのため、シャワーは座って浴びるのが正解だという。「立ってシャワーを浴びないで」は潔癖症の妻よりだいぶ前から口やかましく言われていることの一つだ。妻は化学洗剤や化学薬品を使うのを極度に嫌っているため、防止策に重点を置く必要がある。座って浴びるにしても、最後に壁やフロアを簡単にシャワーで洗い流して、ついでに使わなかった浴槽もさっと洗い流して、出てから換気扇をタイマーで2時間位回しておけば少しはカビ予防になるかと思う。

2026年6月 4日 (木)

神経質礼賛 2472.プログラム集のサイズ

 5年に一度の精神保健指定医更新のための講習を今年度中に受ける必要があり、10月に東京駅からアクセスのよい会場で行われる講習会を予約しようと先月初めから申込サイトを毎日チェックしていた。受付開始日が公表されていないからだ。ずっと「受付前」表示が続き、6月1日朝の段階でも「受付前」だった。ところが、その日に仕事を終えて帰宅して夕方に申込サイトを開いてみると時すでに遅く「締め切り」になっていた。申し込めるのは来年1月に東京・浜松町で開催されるもので、やむなくそこを申し込んだ。今年6月の診療報酬改定により指定医を維持しないと事実上精神科医として仕事を続けていけない状況になり、早めに予約を取ろうと申込が殺到したのだろう。なかなか生存競争が厳しい。

 同じ日に配達された郵便物の中に、第122回日本精神神経学会学術総会のプログラムがあった。手に取っておやっと思う。サイズがA4の半分のA5に縮小されていたのだ。227ページの冊子で、内容的にはほぼ変わらないけれども、縮小印刷のため字が小さくなっていて、ルーペか老眼鏡なしには読みにくい。印刷製本料や郵送料のコスト削減のためかと思われる。

 一方、日本森田療法学会のプログラム・抄録集は2019年の第37回まではB5サイズだったものが翌年の第38回からA4サイズに拡大され、2023年の第40回だけは一度B5サイズに戻り、以後はまたA4サイズが続いている。どうも一貫性がない。今年はどうなるだろうか。

2026年6月 1日 (月)

神経質礼賛 2471.花音の練習会

 昨日は、静岡ピアノ会「花音(かのん)」の練習会に参加させてもらった(1966・1967・2356話)。友人が会員になっているピアノ同好会であるが、ヴァイオリンやフルートなど他の楽器でもピアノ伴奏のあるものならば参加できる。年2回くらい発表会がある。そしてほぼ毎月、公共のホールの練習室を借りて練習会を行っている。参加費は会場使用料の人数割である。時間は午前9時から12時の3時間。順々に演奏していくと参加者10人の場合弾く機会が2~3回巡ってくる。昨日の参加者は7人の予定だったが、遅れて参加した人が多くて最初の1時間は私と友人を含めて3人しかいなかったので、それだけで4巡して用意していた曲は弾き尽くした。ちょっと得した気分だ。後は弾いたことのある小品を2曲弾いた。

 今年も11月23日の「アマチュア・アンサンブルの日」にAOIホールで演奏できることになった。4年連続出演になる。昨年同様、トップバッターで正午に演奏開始予定である。ヘンデルのヴァイオリンソナタ第4番ではホール所有のチェンバロを貸してもらえることになり、楽しみである。もう1曲のツィゴイネルワイゼンはハイリスク(笑)な曲。しかもホールで弾くのは初めてのことだ。これからも本番まで練習は続けるが、不安なままビクビクハラハラのままチャレンジするつもりである。

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