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2026年5月10日 (日)

神経質礼賛 2464.黄金柑

 産婦人科クリニックへの通勤は狐ヶ崎駅から徒歩20分。少し近道も覚えてだいぶ慣れてきた。駅の近くにはほとんど商店がなく、一軒だけ米屋さんがある。仕事帰りに横を通ると、入口のガラス戸越しに、袋入みかんやポンカンが並んでいるのが見えることがある。連休前、黄金柑と書かれた札が目を引いた。この時期の柑橘系はもう夏みかん類ばかりで、はて、どんな果物かなと興味を引いた。小さな黄色の果実がビニール袋に入って300円で売られている。店に入ると御高齢の女性が出て来た。消費税込の値段であることを確認して一袋買ってみる。「もう最後で、傷んでいると悪いから」と比較的大きめの1個を別に手渡された。

 黄金柑は黄蜜柑(きみかん)のことで、収穫量は少なく、スーパーに並ぶことはほとんどないそうだ。神奈川県の特産品「湘南ゴールド」の親品種だという。日向夏(ひゅうがなつ)を小ぶりにしたような感じで、香りは似ていて甘味はやや強いとされる。同じように白い「綿」の部分も食べられる。

 袋には化学肥料・農薬不使用であると書かれている。皮は少々剥きにくく、説明の紙に書いてあるように、ヘタのあたりを切り落としてから、円周方向に剥いてみる。皮を剥いてみてちょっとがっかり。味は悪くないが水分が少ないものが多かった。意外と種もある。収穫時期は2月から4月位らしいから、やはりもう終わりの時期のものだったのだろう。今度見かけたらもう少し早いうちに買ってみることにしよう。

2026年5月 6日 (水)

神経質礼賛 2463.1年半待ちのカード

 前話の枝切り作業を日曜日にも行った。2回位に分けてやろうと思っていたが、もう少し、もう少しとやっているうちに結局一通りできてしまった。1時間位で済ませるつもりが、気が付けば2時間近く経っていた。神経質の欲張りのなせる業である。最後に切った枝を袋詰めしていたら、郵便配達のバイクが止まった。日本医師会の電子認証センターからの速達郵便。本人限定受取郵便(特例型)が郵便局に届いているという通知だった。

 まずは水を一杯飲んで一息ついてから中央郵便局へと歩いて行く。日曜日の郵便受取時間は12:30までだ。その十分前に到着。本人確認にマイナンバーカードを提示して郵便を受け取ることができた。中身はオンライン診察の際に必要となる医師資格証ICカード・・・HPKIカード(2288話)だ。申請したのは1年半近く前。申請時には世界的な半導体不足のため、交付まで半年位かかるという話だったが、その後何の音沙汰もなく、郵送予定のハガキが来たのは先週のことだ。スマホでカードの代用ができるような手続きはしていたが、やはり本物のICカードなしでは心もとない。カードの表記を見ると、発行日が令和6年12月、有効期限は令和11年12月までとなっている。また3年半ほどで再申請をする必要があるということか。マイナンバーカードと同じで後々面倒に思えてしまう。

2026年5月 3日 (日)

神経質礼賛 2462.セルフシルバー人材センター

 3年前にシルバー人材センターに依頼して庭木の枝切をしてもらった(2178話)。その後、剪定を怠っていたら、気が付けば月桂樹とオリーブが高さ5m位まで伸び、西隣家側に大きくはみ出してしまっている。月桂樹は黄色のごく小さな花をたくさん付けてそれが落ちると掃除が厄介だ。姫沙羅も東隣家側に枝を伸ばし、電線にも触れそうになっている。シルバー人材センターにまた依頼するのがよいが、人気が高くて予約が取りにくい。そこで、また自分で少しずつ切っていくことにした。4月の中旬から始めて週2回、市指定の45ℓゴミ袋1~2袋分出している。袋に入るように短くカットするのがなかなかの手間である。道具は何年も前に百円ショップで買った枝切りハサミとプラスチック柄の小さな鋸だけである。始めた時には自分一人でやり切れるのかなあ、と思ったが、少しずつ作業を進めていくと、だんだん先が見えて来た。遅くても小さな行動の積み重ねが着実な成果をもたらすものだ。

   自分自身もシルバーである。以前のようにブロック塀によじ登って作業をするのはもう危険だ。持病のため、続けて作業していると息切れがして、ちょこちょこ休符を入れながらの作業になる。これから暑くなると熱中症が心配だし蚊も出て来るから、連休中に作業を終わらせて、このセルフシルバー人材センターは当分閉店にしたいものだ。

2026年5月 1日 (金)

神経質礼賛 2461.ピカピカの一年生

 真新しいランドセルを背負って登下校するピカピカの一年生を見かけることがある。この前見かけた男の子は横断歩道もない小さな交差点の手前で立ち止まって左右を確認して車が来ていなくても手を挙げて渡っていた。微笑ましい光景であり「純な心」という言葉が思い浮かぶ。学校で教わった通りのことを素直に実行している子なのだろう。

   少子高齢化のため、そして子供たちが外遊びをしなくなって、見かける子供の数はずいぶん減っている。私が子供の頃、街には子供があふれ、路地は子供の遊び場になっていて、近所の子供同士でキャッチボールをしたり道路にチョークのようなもので落書きしたりしたものだ。赤ちゃんがいる家には近所の女の子たちが集まってきて、「抱っこさせてよ」などとねだったものだ。自分の子供たちが小学生の頃は、まだ子供会の活動が盛んで、毎月廃品回収に親たちが駆り出されて私の妻もトラックの荷台の上に乗って新聞紙や雑誌類を集めていたものだ。夏祭り、運動会、遠足など行事も多かった。今年度、町内会の会計担当になって予算を見てみると、なんと予算額ゼロ。子供会は会員数減少のため休止となっていたのだ。時代の変遷を強く感じる。

   森田療法もピカピカの一年生君のように、最初は素直に習ったようにやってみることだ。頭でっかちの神経質は屁理屈を並べて実際の行動がおろそかになりがちなので、気分はともかく四方八方に気を配って仕事に手を出して行動していくようアドバイスしている。しかし、それにこだわり過ぎるとうまくいかないことも出てくる。状況に適した行動が必要な時もある。されど、原則からあまり離れ過ぎても崩れてしまう。そうなった時には初心に立ち返って基本に戻ることも必要になってくる。武道や芸道の「守破離」(598話)なのである。

2026年4月30日 (木)

神経質礼賛 2460.生活志向

 食品の値上げがどうにも止まらない。原材料高騰、円安、輸送コスト上昇、人件費上昇などの要因があって、これからも値上げは収まる気配がない。そんな中、大手スーパーではプライベートブランド商品を開発して人気を博している。パッケージは地味にして広告宣伝費も削ることでコスト削減を図っている。地元のスーパーの菓子売り場には「生活志向」シリーズの一袋百円の商品が並ぶ。ざっと見て50品目位ある。この1、2年チョコレートの値上がり幅は特に大きく、すでに百円ショップからチョコレートは姿を消しているが、ここにはチョコレート系だけでも、レーズンチョコ、ムギチョコ、コーンチョコ、ピーナツブロックチョコがある。袋の表示を見ると販売者は三菱グループの食品会社である三菱食品株式会社となっていて、製造会社は地方の菓子メーカーのようだ。一袋30g程度の量で熱量は150~160kcal程度。ちょっと休憩の時にコーヒーのお供に3~4回分はありそうだ。味も満足でき、大手の菓子メーカーの製品でなくてもこれで十分に思える。

 生活志向とは神経質者にとって、なかなか良い言葉に思える。神経質者は概して悪い所探しをして症状志向・症状本位になりやすい。次々と「症状」を発見して「症状」を膨らましてしまうという悪循環に陥りやすいのだ。症状を消そうとあくせくするよりも生活の充実を図っていく生活志向・生活本位が良い結果を生み出すのである。生活に目が向くようになってふと気が付けば「症状」は消えている。

2026年4月26日 (日)

神経質礼賛 2459.AI川柳

 「ゲゲゲの鬼太郎」の作者・水木しげるさんの出身地の鳥取県境港市では観光協会の主催で妖怪と世相を反映させた「妖怪川柳コンテスト」が毎年行われてきた。ところが、今週結果が発表された第20回大会で終了するという。AIが普及して川柳が作れるようになってしまい、人間が考えた作品とAIで作成された作品との判別ができないレベルに達しており、選考後にAIで作成された句の入賞が判明した場合に公正さが保てなくなる、というのが理由である。10年前、20年前には予想もできなかったことだ。

   AIが簡単に利用できるようになって、いろいろと便利になった反面、学生のレポートや論文を作成するようなことが数年前から問題視されるようになってきた。医学論文を含む科学論文でもAI利用の可能性が取りざたされることがある。それに比べると定型的な川柳はAIにとっては作りやすい分野と言えそうだ。季語がある俳句も作れてしまう可能性があるし、短歌だって作れそうだ。さらには短い小説も作られるようになるかもしれない。チェス・将棋・囲碁などゲームの分野ではすでに人間がAIにかなわなくなってきている。AIによる作曲も近くまで来ているのではないか。今後さらに文学・芸術の分野にもAI利用が広がっていきそうだ。人間の牙城が次々と崩されていくのは寂しい気もする。近頃はAIのコンピュータ犯罪への悪用も懸念されている。姿を見せないAIこそ現代の超大物妖怪なのかも知れない。

2026年4月23日 (木)

神経質礼賛 2458.水木しげるの妖怪百鬼夜行展

 地元の市立美術館で水木しげるの妖怪百鬼夜行展が開催されているので観に行った。漫画やアニメのゲゲゲの鬼太郎で有名になった水木しげるさんは古くから日本に伝わる妖怪に関する書籍を集めて研究し、漫画の中に出てくるキャラクターたちを生み出した。そうした数多くのキャラクターたちの絵が今回の展示のメインになっていた。

 河童、座敷童子、海坊主、山姥、人魂、疫病神は昔話でお馴染みである。コロナ流行時に注目を浴びたアマビエもあった。震々(ぶるぶる)は臆病神・ぞぞ神とも呼ばれ、人間の襟元に取り憑き、首筋をぞっとさせて恐怖を感じさせる。妖怪の多くは不安心理の産物である。あかなめは風呂に付いた垢を舐める妖怪で、風呂を掃除しておかないとこういうのが出るぞという警告のようだ。不潔恐怖のためピンポイントで不潔を気にしても風呂掃除まで頭が回らない人は要注意である。いそがしという妖怪もいて、取り憑かれると落ち着きがなくなり忙しく動き回ってしまうが取り憑かれても不快感はないといい、躁状態にも思える。水木さん自身、漫画家として多忙な時期にはいそがしに取り憑かれていたと述懐していたという。鬼太郎にも登場し一見怖くないような児啼爺(こなきじじい)は実は恐ろしい。赤ん坊が泣いていると思って抱き上げると急に重くなって抱いた人間を動けなくして死に至らしめる。鬼太郎の中では、敵をおびき寄せて体を重い石にして押し潰す働きをするが、酒好きで酔っぱらっていて砂掛け婆から叱られるというキャラクター設定になっている。会場出口には大きな「ぬりかべ」が展示されていた。突然、目の前に現れて行く手を遮る妖怪である。鬼太郎では、口数は少ないが、敵から鬼太郎たちを守ってくれたり、敵を押し潰したりする役割を担っている。もちろん展覧会場からは普通に出られる。

 

2026年4月19日 (日)

神経質礼賛 2457.メルカトル図法

 西アフリカのトーゴが、世界地図によく使われるメルカトル図法の使用をやめてイコールアース図法を採用するよう求める決議案を今年の国連総会に提出する予定とのニュースがあった。メルカトル図法の歴史は古く1569年から使われている正角図法で、国の形を見る際に便利ではあるが、赤道近辺の国々に比べて北極や南極に近い国々が極度に拡大されてしまい、南極点や北極点は無限遠点になってしまうという大きな欠点がある。例えばこの図法ではグリーンランドがアフリカ大陸と同じ位の広さに見えるが、実際のところアフリカ大陸はグリーンランドの14倍の面積がある。それゆえ、アフリカが軽視される一因になっているのではないか、という主張であり、アフリカ諸国の多くがこの決議案に賛同しているという。
 根拠もなくグリーンランドが自国の領土だと主張する、誇大妄想と自己愛で頭が一杯の某国大統領は、このメルカトル図法による地図の巨大なグリーンランドを自国の色に塗ることを思い描いているに違いない。

 私は小中学生の頃、地図帳を見るのが好きだった。特に、後ろの方に書かれている世界地図の図法の違いや特徴に興味を持っていた。自分が持っている1枚の世界全図はメルカトル図法の欠点を補ったミラー図法だった。イコールアース図法という言葉は今回初めて知った。アメリカ航空宇宙局が開発した最近よく見る厳密な正積図法である。正積のモルワイデ図法(地球の外周を横長の楕円形に描いた図法)を見やすくした印象であり、これならばどこの国にも公平であろう。

 神経症の「症状」は問題のメルカトル図法で表現されるグリーンランドあるいは北極や南極のようなものではないだろうか。本人にとって「症状」はとんでもなく大きな存在であっても、他の人から見たらそれほどでもないことなのである。全体を公平に見渡して、症状を相手にせず、生活を充実させることに主眼をおいて行動していけば、いつしか「症状」はなくなっている。そして神経質が生活に生きてくるのだ。

2026年4月16日 (木)

神経質礼賛 2456.ヘンデルの偽作ソナタ

 今年度から2年間、町内会の会計担当の役が回ってきて(2427話)、楽器演奏に黄信号が点いてしまった。それでも3年続けて出場した「アマチュア・アンサンブルの日」参加に今年も応募してみることにした。曲目を何にするか。友人と普段よく弾いているモーツァルトのヴァイオリンソナタ変ロ長調K378の第一楽章はピアノパートが華やかで聞き映えするからどうかと思ったがピアノの負担が重いようで、友人からはヘンデルのソナタ位にして欲しいと言われた。ヘンデルのヴァイオリンソナタは全部で6曲あって、第5番と第6番はよく弾いている。ヴァイオリンパートが重音を多用して綺麗な第5番イ長調ならば繰り返しなしで6分位に収まり楽章途中の譜めくりも不要でピアノの負担が軽い。これならいいだろう、ということになった。ところが、いろいろ調べてみると現在では5番も6番も偽作とされていることが分かった。かつては名ヴァイオリニストたちがレコードやCDに録音したものだが、最近の若い演奏家はほとんど演奏しなくなっている。やはり偽作とされてしまったのが原因であろう。残念なことである。真作は6曲のうち第1番と第4番の二曲だけのようだ。いずれもヴァイオリン中級の始めに習う曲であり、私も小学校6年の時に弾いた曲である。結局第4番ニ長調を選んだ。技術的には難しくない反面、曲の魅力をどう引き出すかが難しい。もう一曲はチャレンジングにサラサーテ作曲ツィゴイネルワイゼンにした。完全にはほど遠いが、いつかホールで弾くことを夢見ていた曲である。果たして抽選に通りますかどうか。

 ヘンデルの時代は著作権という概念がなかったから、他の作曲家の作品を流用することはしばしばあったし、出版社が売れるように勝手に他の作曲家の作品を一緒にして出版してしまうようなこともあったようだ。クラシック曲の偽作については以前カッチーニのアヴェ・マリアについて書いたことがある(351話)。旧ソ連の作曲家ウラジミール・ヴァヴィロフ作のこの曲はここ10年・20年で歌われるあるいは演奏される機会がとても多くなり、いつの間にかバッハ=グノー作曲・シューベルト作曲のアヴェ・マリアと並んで三大アヴェ・マリアと呼ばれる存在になっている。神経質人間にはちょっと気になるが、多くの人々に支持される魅力的な曲であれば偽作であろうと通用するものなのだろう。

2026年4月12日 (日)

神経質礼賛 2455.健康血圧手帳

 通院している循環器内科から健康血圧手帳というものを渡され、朝と眠前の2回血圧を測って記録するように言われて3か月になる。目立つ黄色の表紙で1年分記録できるようになっている。測り忘れないように机の上に置いている。神経質ゆえ、忘れるはずもなく、1日2回だけでは物足りず、何か変だなと思うとつい測って欄外にメモしてしまうのだ。朝の血圧は仕事に行く日はやや高くなりやすい。薬の効きもあって昼過ぎあたりにかなり下がっていることがある。寝る前は収縮期が100未満のことが多い。ちょっと下げ過ぎではないかという気がする。夏場はさらに下がりそうなので、その時には薬の減量が必要になるかも知れない。

 婦人科クリニックに通院している外来患者さんに年齢が私と同じくらいの方がいる。不眠症で以前から内科医院で睡眠薬を処方してもらっていた。寝つきが悪い神経症性不眠である。この人はクリニックの自動血圧計で血圧を測ると収縮期血圧が180以上になることが多く、緊張すると上がりやすい。内科医院受診時も同様である。ところが家で測ると120~130なのだそうだ。「白衣高血圧」といって病医院で上がってしまう人がいて、まさにそれである。血圧が高かったらどうしよう、何か薬を処方されてずっと飲まなくてはいけなくなるのでは、といったことを心配して緊張するのが原因と考えられる。しかし、白衣高血圧ではあっても、その後に持続高血圧に移行することもあるので、油断せずに自宅での血圧測定を続けていただくようお願いしている。

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